Windows9は無いん
昨日、Windows8.1の次のバージョンがWindows10であると発表された。Windows98の次がwindows99ではなくXPであったことから、9は無いんではないかと言う予測は一部にはあった。しかしまさかほんとに一個飛ばして10になるとは。見事に裏をかかれた感がある。“ちまちましたアップデートではなく飛躍だ”と言う事で9を飛ばして10になったとのことだが、Microsoft内には9を異常に嫌う人がいるのではないかと疑いたくなるような採番の仕方である。ともあれ、Windows10の発表と共に、開発者向けに発売前に技術検証やプレビューを行うためのTechnical Preview版が無料公開されているので、さっそくダウンロードしてインストールしてみた。みんなが手にする前に味見ができるのはちょっと気分がイイではないか。どうせ期間限定で使えなくなってしまう者なので、早めに入れて遊び倒してしまおう。いじくり倒したフィードバック結果が本番リリースのWindows10に反映されるかもしれない。楽しく遊べて、Microsoftも喜ぶ一石二鳥なのだ。
Windows10 Technical Previewのダウンロード
Windows10 Technical Previewは以下のサイトにアクセスしてダウンロードする。
・http://windows.microsoft.com/ja-jp/windows/preview
上記リンクをを開いて、”今すぐ開始”をクリックする。
ココからなぜか英語になってしまうが、気を強く持ってMicrosoftの「未来のWindowsをシェイプするのを助けて」という呼びかけに”Join now”する。
すると、サインインしろといわれるので、昔はMSNアカウントだったが、今はWindows Liveアカウントで、と思っていたらそれも古くていまはMicrosftアカウントと言うらしいIDでログインする。もしお持ちでなければこの機会に作ってしまえばいいかもしれない。
サインインすると、使用及びプライバシー規約を受け入れろと言われるので、しぶしぶ”I Agree”をクリックする。
契約に同意したら、いきなり「おめでとさん、お前は今からインサイダーだ」と言われてしまうので、画面の前で、「お、おう」とつぶやきつつ、”Install Technical Preview”をクリックする。
ココでやっとTechnical Previewのダウンロードページにたどり着く。ココでなぜか日本語に戻る。不思議だ。
下の方にスクロールすると、インストールメディアのISOイメージのダウンロードリンクが並んでいる。米語、英語、中国語、ポルトガル語の4種類があるが、日本語は無いので中学でも習う米語バージョンをダウンロードしてみる。一番上の英語の奴である。今回はせっかくなので64bitバージョンにしてみよう。3.81GBらしい。結構思ったよりコンパクトだ。
ダウンロードには時間がかかるので、気長にコーヒーでも飲みながら待てばよろしかろう。
いよいよインストール
Technical Preview版は期間限定でどうせ潰してしまう環境なので、実マシンは用意せず、気軽に使える仮想環境にインストールしてみる。インストールの必要用件は以下の通り。
- CPU: 1 GHz 以上
- メモリ: 1 GB (32 ビット) または 2 GB (64 ビット)
- ハード ディスクの空き容量: 16 GB
- グラフィックス カード: Microsoft DirectX 9 グラフィックス デバイス (WDDM ドライバー付き)
- Microsoft アカウントとインターネット アクセス
この要件を満たすようにVirtualBoxの仮想マシンを作り、ダウンロードしたISOファイルをマウントさせた状態で起動してみればあら不思議、Windows10のインストールが始まるではありませんか。インストール言語には日本語が使えないが、タイムゾーンやキーボードは日本関連をえらんで”next”をクリックする。
腹をくくって”Install now”をクリックする。
セットアップが始まる。
同意しなければインストールできないので、無抵抗で”I accept the licence terms”にチェックを入れて”Next”をクリックする。
どういうタイプのインストールがお好みかと聞かれるが、今回はクリーンインストールなので下の”Custom:Install Windows only(advanced)”を選ぶ。
インストールするドライブを選んで”Next”をクリック。
するとファイルのコピーとか諸々が始まるのでゆったり待つ。
その後再起動して、デバイスのあれこれが始まる。
そしてさらに再起動がかかって、セッティングの画面になる。推奨設定を使えと言ってくるが、それでは詰まらんので一個一個見ていくために、”Customize”をクリックする。
ネットワークはどうやらDHCPで自動でIP取得してつながっているみたいだ。ここはホームまたは職場ネットワークなので”YES”を選択する。
アップデートは自動のままでいいだろう。さらにSmart ScreenやDo Not Track requestも有効にしておく。
要らないものを適当にOFFにしてみる。
さらに、マイクロソフトアカウントから名前や顔写真使うとか、ブラウザの履歴を送るとか、恐ろしい項目やいらないものをOFFにしてみる。
マイクロソフトアカウントでログインしろと言われるが、なんでいちいちアカウントの管理をマイクロソフトに委託せねばならんのか。ローカルアカウントでいいではないか。そう思った人へWindows8と同様にマイクロソフトアカウントを回避するためには、ここで”Create a new account”を選んでアカウントを作るふりをする。
ここで”Sing in without a Microsoft account”をクリックする。
やっとローカルアカウント作成ができる画面にたどり着いた。ユーザー名とパスワード、パスワードを忘れたときのためのヒントを入力して、”Finish”だ!
こっからさらに下のような画面で長時間待たされるが、クッキーでも食べて待つ。
最後に満を持して、デスクトップが立ち上がってくる。今は亡きメトロUIに合掌。
見た目はさほどWindows8と変わらない。ビルド番号は9841である。そういえば、ダウンロードページででかでかと表示されたプロダクトキーを入力していないが、いいのだろうか。まあいいや。さあどこが以前までと違うのだろうか。
さらっと触ってみる
では立ち上がってきたWindows10をさらっと触ってみよう。予てからいろんなところで報道されていた通り、スタートメニューが復活しており、メトロUIが廃止されている。メトロUIにあったようなパネルはスタートボタンを押した画面に現れる。スカイプがプリインストールされている。
しばらく使っていると、マイクロフトアカウントにスイッチしろよと言う画面が現れた。とてもしつこい。マイクロソフトアカウントでログインしなければ色々なアプリが不便だという。高品質なOSを提供していただいていることには感謝するが、マイクロソフトだけにそれほど高く依存するつもりはないのだ。ちゃんとフィードバックは送るから、そっとしておいていただきたい。マイクロソフトにPCの使用状況を監視されながら仕事をする気はないのだ。
インストール要件が16GBの記憶領域だったので、16GBのディスクを作ってインストールしているが、インストール直後では、6.67GBのディスク使用量であった。以外に大人しい。
ユーザーアカウントの設定画面を開くと、ローカルユーザーでログインしていることがわかる。
マイクロソフトのクラウドストレージであるOne Driveはマイクロソフトアカウントでログインしていないので使えない。むしろその方がうっかり大事なものをクラウドに上げてしまう心配がなく安全な気もする。
インストール時に決めたプライバシー設定の数々はこのあたりで後から変更可能だ。
インストールしたばかりではあるが、Windows Updateで更新が無いかチェックしてみる。
けっこうたくさんあったのでインストールして再起動してみる。
ログイン画面もWindows8とほぼ変わらない。
メニューボタン以外で変わったところをさがすと、複数のデスクトップを作ることができるようになっていることに気づく。
他には、コマンドプロンプトで右クリックして範囲指定を選択しなくても、Linuxの端末エミュレーターのようにコマンドラインを選択することができるようになっていた。使いやすい。
使用者の高齢化を意識してか、イージーアクセス関連が充実していた。下の画像は老眼の型にうってつけの拡大鏡だ。とても使いやすく進化している。
おそらく、もっとシステムの深いところでは色々な変更や進歩があるのだろうが、何も知らずに触ってみた結果、Windwos8.1とあんまり変わらないなと言う印象だ。スタートボタンの復活でいきたいところへは格段にアクセスしやすくなっているが、他はWindows8のフラットデザインを引き継いでおり、複数デスクトップもLinuxのデスクトップ環境ではだいぶ前からあるものだし、びっくりするような進化は無かった。
ただ、メトロUIはやたらと全画面で表示され、ユーザーがデスクトップに複数のWindowを開いて作業するのを嫌がっているように思えたが、今回の複数デスクトップの採用などは、Windowsを開いたまま保持しやすくする変更であり、メトロアプリもウィンドウ表示できるなど、Windows8のユーザーインターフェースの思惑を180度撤回した形になっているように感じた。
一方で、ユーザー管理をローカルで行わず、Microsoftアカウントへ移管させる方向性は継続しているようだ。ブラウザでもクラウドIDを求められ、googleにもappleにも求められ、ハードウェアメーカーにも求められ、Microsoftにも求められる。ユーザーはうんざりしている。PCはパーソナルコンピューターである。ごくごく個人的なものだ。そんなもののユーザー管理くらいローカルでさせてほしい。ありとあらゆるところでIDとパスワードが流出するクラウドなどに任せたくはないのだ。流出してから謝られても我々は困る。幾多の大企業がを詫びのメールを一本よこす。ユーザーは憤りながらも、なすすべなくこぶしを上げることをあきらめる。そのことに何の意味があるだろう。某大型ネットショッピングモールの場合は謝る事すらしなかった。ユーザーが漏らしたのだから謝罪しないという。それでもWebサービスにはユーザーをサービス企業に預けなければサービスを受けられない。しかしOSはちがう。ハードウェアもソフトウェアも手元にあるのだ。わざわざ危険を冒す理由などどこにもない。たとえ安全であっても精神衛生上良くない。
このTechnical Preview版はまだまだ公開されたばかりであり、フィードバックを受けて変更されるところが多々出てくるのだろう。正式版がどのような形になるのか、また、Windows8の時は3800円の格安アップグレード版が提供されたが、今回も同様の販売方針となるのか、楽しみに待っていたいと思う。