Replicator2Xの延命
makersブームが巻き起こり、3Dプリンター欲が頂点に達しReplicator2Xをアメリカから取り寄せたのはいつのことだっただろうか。もうかれこれ4年前の出来事だ。それから、わがReplicator2Xはちょこちょこ故障しては修理したり、パーツを取り換えて改造して見たりといろいろいじくりながら、出力は最近のプリンターよりは見劣りする荒さではあるものの、安定して出力できる環境が整ってご機嫌に運用されている。最近出てきた超絶きれいな出力をする機器に興味を持ちつつ、それらを買うだけのたくわえの無いわが身の境遇を嘆いても始まらない。このビンテージ3Dプリンターを長く運用し10年後20年後に数少ない実働可能なReplicator2Xとして貴重な存在になってくれることを期待しつつ、純正パーツを生きた状態保存しながら、どんどん改造していきたい。このプロセスは、きっとお金がたまって新しい3Dプリンターを作ったり購入したりしたとしても続けていけたらいいなあと思う。そんな思いをもって改造され続ける我がReplicator2Xについて、今回はヘッドが重くて方向転換の度に慣性的なあれに振り回されてしまっているのではないかという問題に立ち向かってみたいと思うのである。
Replicator2X改造計画
Thingiversを覗いていると、Replicator2Xの基盤を換装したり、ホットエンドやエクストルーダーをいろいろと載せ替えたりするためのモデルが複数投稿されている。我がReplicator2Xを最終的にはメインボードを32bitのボードに乗せ換えて、6 in 1 outのホットエンドを使用する形に改造していきたい。だが、それらの改造をいっぺんに行ってしまうと、ちゃんと動かせるようになるまでどこがおかしいのか問題個所の特定が難しくなってしまいそうだ。そのため、ちょっとずつ小分けにして改造していきたい。まずは簡単そうで費用が掛からず、出力品質改善に寄与しそうな部分から行ってみたい。
背面ホルダーのちょこっとした修正
Replicator2Xのエクストルーダーはプリントヘッドの上に載っており、フィラメントが最終的に射出される場所の直上に常に運ばれる。そして、乗ってるステッパーモーターが結構重い。力いっぱい全力投球で投げたら結構な破壊力がありそうなレベルで重い。なのでこいつを背面に持ってきて上げることで、高速で移動するヘッドが期待にかける負担を大幅に軽減できるのではないか。ThingiversにあったホットエンドをE3D-v6に換装するキットのエクストルーダーを背面に固定してるパーツを使用させてもらおうと考えた。
まず、背面のコード類を束ねてる金具を外してみる。
結束バンド代わりにつけてるマジックテープを外すと見えるこいつを外す!
外れた!M6の黒くぶっといけど短いネジだ。
後に残ったずっぽりとした大きな穴が哀愁を誘う。
あとは、外したエクストルーダーの向きを変えて取り付けるだけだと思ったが、以前の記事「3DプリンターReplicator2Xのエクストルーダーを取り替える」でとりかえたReplicator 2X Extruder Upgradeでは、エクストルーダーの下部分がぶ厚すぎて、今回プリントした固定具ではネジ穴の位置が合わないことが判明した。
なので、モデルをちょこっと修正してみた。
右が修正前で、左が修正後だ。
全体的に薄く細くなっている。薄くなっているのはモーターを止めているM3ネジの手持ちのネジが短かったから届く厚さにしたら薄くなってしまった。強度に不安があれば、太くして長いネジを買い足したい。でも今はお金が惜しい。なので薄くしました。それでもやはり、M6の黒くてぶっとくて短いネジは、長さが足らなかったので、M6の20mmのネジに変えざるを得なかった。痛い出費であった。出費の痛みに耐えつつ、エクストルーダーの向きを90度変えて付け直す。
これを、薄いホルダーに付けると、こうなる。
丈夫にはワンタッ継手をつけて、外径4mmのテフロンチューブががっちりと付くようになっている。これでエクストルーダーからチューブが外れずフィラメントが押し出されるようになる。チューブが外れないことがエクストルーダーとホットエンドの距離を置いた構造の場合、死活問題となるのだ。
これを、哀愁を誘う穴にずっぽりとM6ネジをねじ込んで取り付ける。
エンドストップをめぐる攻防
Replicator2Xには、X軸、Y軸、Z軸のそれぞれに1ずつエンドストップのスイッチが用意されていて、エンドストップがあるポジションそれぞれの軸の基点として反対側の限界点はソフトウェア的に設定される。なのでプリントをスタートすると、エンドストップを触りに行って、自分の位置を初期化してからプリントがスタートするのだが、X軸では実は、エクストルーダーのステッパーモーターがエンドストップにタッチすることでスイッチが押される仕組みになっているため、ステッパーモーターを外した今の状態ではプリントできない。初期位置に動こうとしてもX軸の移動限界でストップがかけられないので限界を超えて動こうとしてえらいことになってしまう。ステッパーモーターの代わりにエンドストップをタッチしてくれるものを置いておかねばならない。ならば作っちゃおう。
出力したらこんな感じ。これにM3ナットを入れて本体に止める作戦だ。
本体に載せるとこんなかんじ。エンドストップのスイッチにもちゃんと当たる。
チューブの固定をめぐる攻防
エクストルーダーが遠くへ行ってしまったので、ホットエンドへつづく金属製のチューブと、テフロンチューブをつなぐ部品も考えなければならない。金属チューブは外径の直径が6mmで、テフロンチューブが4mmなので、それを接続するつなぎも作ってみた。
はめ込んでみた。
これで旨く行くかと思われたが、テストプリントしてみたら見事に1層目を出力している途中でチューブが外れてホットエンドの上にもじゃもじゃが現れるというとんでもないアクシデントが起こってしまった。余りにびっくりしたのでその状態の写真を取り忘れた。はやりはめ込むだけでは固定が足りなかったのだ。ちょうどエンドストップにタッチするために作った先ほどのパーツにくっつけてしまえばネジでしっかりと固定されたチューブホルダーができそうだ。ということで作ってみた。
出力してみた。
前回と同様、M3ナットを挿入して使用する。
ぴったりだ!ナットの穴がぴったりだ!
もちろん、ワンタッチ継ぎ手を装着する。これでもうはずれまい。
本体に載せてみる。バッチぐぅーだ。
エクストルーダーからフィラメントをセットしてみた。いい感じだ。
もちろん、トップのアクリルフードを閉めても中に納まる。これは、もしかしたらフードの外にモーターがくる形に改良したほうが、モーターの放熱のためにいいかもしれない。今後改良の余地ありだ。
ちゃんとエンドストップのスイッチにもあたっている。よしよし。
これで、エクストルーダーとホットエンドが分離されたので、ホットエンドを好きなものに置換できるようになった。今は純正の射出ノズルが2つのままだが、次こそは2 in 1 outのホットエンドに置換してみたい。そのためにはマウント部分を設計する必要がある。がんばるぞい。