もう少し立体的な物を作りたいという欲求
前回、Puzzle old and new(1893)139頁に乗っているパズルを作ってみた。割と単純な形状で、さらに平べったくもあったので3D感に欠ける気がしないでもない。そこで、より立体的な物として、紹介しきれなかったPuzzle old and new(1893)140頁に乗っているパズルを作ってみよう。前回と同様にCADはDesignSparkを使用する。今回の形状のほうがちょっと複雑だが、使用するコマンドは前回の手順に出てきたものしか使わないので比較的容易に作製できそうだ。パーツの数も3ピースから6ピースに増えているのでパズル自体の難易度も高くなっている。少ない手間で難易度も上がるというのは、一挙両得でお得感がある。
パーツaを作る
まずは、基本形となるパーツaの基を作ってみる。DesignSparkを起動して、図B-1 ① “スケッチモード”を選択し、②”矩形”を選択した状態で、③8mm x 40mm の長方形を描く。
図B-1
図B-2 ① “3Dモード”を選択し、②”選択”を選択して、③先ほど描いた長方形を選択する。
図B-2
図B-3 ① “3Dモード”を選択し、②”プル”を選択して、③オブジェクト作成画面でマウスをドラッグして選択した長方形を 8mm の厚みに引っ張り出す。これでaがほぼ出来上がった。今回はこれを基本形として、”プル”でいらない部分をへこませていくだけだ。
パーツfを作るぞ
パーツaの作成画面でキーボードから”Ctrl + A”を入力してすべてを選択し、”Ctrl + C”でコピーする。新規作成で新しい作成画面を開き”Ctrl + V”を押してペーストする。ここでパーツaの次はbと行きたいところだが、作りやすそうなのでパーツfを先に作る。
図B-4 ①”スケッチモード”を選択し、②”矩形”を選択して、ど真ん中に8mm x 16mm の長方形を描く。
図B-4
図B-5 ① “3Dモード”を選択し、②”選択”を選択して、③先ほど描いた長方形を選択する。
図B-5
図B-6 ① “3Dモード”を選択し、②”プル”を選択して、③オブジェクト作成画面でマウスをドラッグして選択した長方形を 4mm へこませる。これでパーツfがほぼできた。次はこれを基にパーツdを作る。
パーツをd作るよ
パーツfの作成画面でキーボードから”Ctrl + A”を入力してすべてを選択し、”Ctrl + C”でコピーする。新規作成で新しい作成画面を開き”Ctrl + V”を押してペーストする。そのうえで、図B-7 ①”選択”を選択して、②先ほどへこませた面を選択した状態で、③”スケッチモード”を選択する。そうするとへこんだ面の高さの平面でスケッチができるようになる。
図B-7
図B-8 ①”スケッチモード”を選択し、②”矩形”を選択して、へこませた壁の下 4mm のところに8mm x 4mm の長方形を描く。
図B-8
図B-9 ①”3Dモード”を選択し、②”選択”を選択して、③先ほど描いた長方形を選択する。
図B-9
図B-10 ① “3Dモード”を選択し、②”プル”を選択して、③オブジェクト作成画面でマウスをドラッグして選択した長方形を 4mm へ引っ張り出す。
パーツをb作るぜ
次は、またまたパーツfをベースとしてパーツbを作る。パーツfの作成画面でキーボードから”Ctrl + A”を入力してすべてを選択し、”Ctrl + C”でコピーする。新規作成で新しい作成画面を開き”Ctrl + V”を押してペーストする。その後、先ほどの図B-7 の状態を作った手順を繰り返す。
そこから手順を分岐させて、図B-11 ①”スケッチモード”を選択し、②”矩形”を選択して、③中央右側に4mm x 8mm の長方形を描く。
図B-11
図B-12 ① “3Dモード”を選択し、②”選択”を選択して、③先ほど描いた長方形を選択する。
図B-12
図B-13 ① “3Dモード”を選択し、②”プル”を選択して、③オブジェクト作成画面でマウスをドラッグして選択した長方形を 4mm へこませる。これでパーツbが大体できた。
パーツをe作るの
次は、またまたパーツfをベースとしてパーツeを作る。パーツfの作成画面でキーボードから”Ctrl + A”を入力してすべてを選択し、”Ctrl + C”でコピーする。新規作成で新しい作成画面を開き”Ctrl + V”を押してペーストする。その後、先ほどの図B-7 の状態を作った手順を繰り返す。
ここから、パーツbの左右対称の状態を作る。図B-14 ①”スケッチモード”を選択し、②”矩形”を選択して、③パーツbの左右対称となるように 4mm x 8mm を描き、その隣手前に 4mm x 4mmの正方形を描く。
図B-14
図B-15 ①”3Dモード”を選択し、①”プル”を選択する。そして③4mm x 8mm の長方形の上でマウスをドラッグし4mmへこませて、④4mm x 4mm の正方形の上でマウスをドラッグし4mm引っ張り出す。これでパーツeがほぼできた。
パーツをc作るのさ
次は、パーツaをベースとしてパーツcを作る。パーツfの作成画面でキーボードから”Ctrl + A”を入力してすべてを選択し、”Ctrl + C”でコピーする。新規作成で新しい作成画面を開き”Ctrl + V”を押してペーストする。
図B-16 ①”スケッチモード”を選択し、②”矩形”を選択して、③中央左側に4mm x 8mm の長方形を描く。
図B-16
図B-17 ①”スケッチモード”を選択し、②”線”を選択して、③中央右側から手前へ4mm幅のL字を描く。線は始点としたいポイントでクリックし、折り曲げたいポイントでクリックを繰り返し、終点でダブルクリックをする。
図B-17
図B-18 ①”3Dモード”を選択し、②”プル”を選択する。その状態で③まず中央左の長方形の上でマウスをドラッグし8mm へこませる。つづいて、右のL字の上でマウスをドラッグして4mmへこませる。これでパーツcの形ができた。
パーツの辺を丸めて出来上がり
ここまでで6つのパーツがすべてそろったが、前回同様すべての辺を丸めておく。そうすることでお世辞にも精度が高いとは言えない3Dプリンターの出力でもなんだか工業製品っぽい雰囲気を醸し出すことができちゃうのだ!
図B-19 ①”3Dモード”を選択し、②”プル”を選択して、③”フィレット”を選択する。その上で、どれでもいいので辺を一つクリックして選択する。この状態でキーボードから”Ctrl + A”を押すとすべての辺が選択されるので、そのままマウスをドラッグして1mmの半径で丸める。個の手順をパーツa~f全てで行う。
これをstl形式で保存し、3Dプリンターで出力すれば出来上がりだ。出来た物は違うものの、ほぼ前回と同じテクニックしか使っていない。四角しか使っていないので割と簡単にできてしまう。簡単に作成できるが、個のパズルは割と難しい。恥ずかしながら私は解けるまでに2日かかった。皆さんもぜひ挑戦していただきたい。パズルは楽しい。自分で作るのはめんどくさいけど、3Dデータが欲しいという方は、銀仁堂でSTL、OBJ、DXF形式のセットを販売しているので、ぜひ購入を検討していただきたい。
これでDsignSparkの基本的な操作は理解できた。次こそは丸や曲線を使った複雑な形状の何かを作ってみようと思う。