我が事務所の環境には実はNASがある。NASと略される物は多々あるが今回の場合はNetwork-attached Strageの事である。ネットワーク上にストレージを接続する機器、平たく言えばファイルサーバーだ。我が環境のNASには、2007年に購入したBUFFALO TeraStation LAN接続HDD TS-H2.0TGL/R5が採用されている。今回は如何にして私がこれを純正カードリッジではなく一般の内蔵型3.5インチHDDに換装してウハウハになったかと言うお話である。
BUFFALO TeraStation LAN接続HDD TS-H2.0TGL/R5は500GBのHDDを4本内蔵でき、各種RAIDアレイの構築が可能であり、故障したHDDのホットスワップも出来ちゃうのだ。ギガビットイーサ対応のNICも装備しており購入から6年経った今も何ら問題なく安定稼働している。
実に良く働いてくれたが、6年間溜まりに溜まったデータを残しておくには500GBx4をRAID5で運用していた実行容量1.5TBの環境では手狭になってきた。そろそろHDD障害が起こる前にHDDの交換と容量アップをと考え、buffaloの純正カードリッジの価格を調べた結果以下のような有様であるという現実を知った。
2TBが5万円オーバーなのだ。4本買うと20万円である。もはやギャグだ。そんなものをおいそれと買うわけには行かない。さらに公式HPによるとBUFFALO TeraStationLiving NAS DLNA対応ホームサーバ2.0TB HS-DH2.0TGL/R5は2TBのカードリッジには対応していないという。そんな馬鹿な。愕然としていると、追い打ちをかけるようにこんな記事を見つけた。
上記記事では純正でないHDDでは動作しないという結果で締めくくられている。本当だろうか?じつは、純正じゃないHDDでもちゃんと動くのである。そのような報告がWeb上には溢れている。
つまり、一つ目の記事はHDDを4ついっぺんに交換したために失敗しているのだ。二つ目の記事によると、terastationはブートの情報をHDD上に保存する設計となっているため、4ついっぺんに交換してしまうとboot出来なくなってしまうのだ。これを回避するためには、二回に分けて交換することでbootイメージがいっぺんに失われることを防げばよいらしい。万が一、4ついっぺんに交換してしまい、boot出来なくなった場合の回復方法も二つ目の記事に詳しい。
今回は省電力、低発熱を謳うWinstonDesital Green 3.5inch IntelliPower 2.0TB 64MBキャッシュ SATA3.0 WD20EZRX/Nを使ってみた。これで、約3万円の出費で8TB化できる。資金に余裕がある人はNAS用を謳うREDシリーズ、WinstonDesital Red 3.5inch IntelliPower 2.0TB 64MBキャッシュ SATA3.0 WD20EFRXを使用するともっと長持ちするのかもしれない。
1.NASのデータをバックアップする
テラバイトクラスのHDDが市場に登場して久しい。最近では安価になってきている。バックアップと言っても1.5TBのデータなので、もはや1万円以下のHDD一台で吸い上げられる容量だ。ちょろっとバックアップしてしまう。
2.NASのRAIDアレイを削除する
ブラウザから”http://terastationのIPアドレス”にアクセスして、管理画面にログインし、「ディスク管理」→「RAID管理」→「ディスクアレイの削除」をクリックする。
表示されている番号を、番号入力欄に入力して設定ボタンをクリックする。
TOPに戻り、アレイが削除されていることを確認する。
3.電源を落とし、HDDを3つだけ換装する
管理画面から電源を落としてから、本体の鍵を開け、カードリッジを取り出してケーブルを取り外す。すると、カードリッジには3.5インチHDDが底部のねじ4つで固定されているのみである事がわかる。至極簡単に換装できる。Webサーフィンで拾った情報を総合するとどうやらHDDを4ついっぺんに換装すると動作しなくなってしまうという報告がちらほら見受けられたのでまずは3つだけ換装する。
因みに入っていたHDDは、SAMUSUNG HD501LJ(500GB/7200rpm/16M)であった。6年前と言えば、当時のSAMUSUNGは現在ほどのブランドイメージを確立できておらず、安かろう悪かろうというイメージのメーカーであったと思う。このNASは当時10万円以上したのに安いHDD使いやがってと心の中でつぶやいたのはここだけの話である。
4、電源を入れて、消したつもりで消えていなかったRAIDアレイの削除を再度おこなう
電源を入れてみると、エラーランプが点灯するが気にせずに管理画面にログインしてみる。あれ、消したはずのRAIDアレイが残っており、エラーだという警告が表示されている。
再度、RAIDアレイの削除を試みる。
今度こそ消えたはずだ。
5、換装した3つのHDDをフォーマットする
TOPに戻り、「ディスク1がフォーマットされていません」をクリックしてフォーマットを実行する。プルダウンメニューでディスク1を選択し、「フォーマット対象ディスクを選択」をクリックする。
「フォーマットを開始」をクリックする。
番号入力欄に表示された番号を入力し、「設定」をクリックする。
フォーマット完了を確認。
同様にディスク2、ディスク3もフォーマットする。そしてTOPでフォーマットされたことを確認する。ちゃんとディスク1~3が約2TB認識されていることを確認する。
6、最後の一つ、ディスク4を換装してフォーマットする
再び電源を落とし、最後のディスク4を換装してフォーマットする。手順はディスク1~3の時と同じだ。管理画面にログインし、「ディスク4がフォーマットされていません」をクリックする。
プルダウンメニューからディスク4を選択し、「フォーマット対象ディスクを選択」をクリックする。
「フォーマットを開始」をクリックする。
了解をクリック。
TOPに戻り、全ディスクが約2TBになっていることを確認する。
ディスク管理から確認するとこんな感じ。
7.RAID5のアレイを作ってみる
管理画面の「ディスク管理」からRAIDアレイ1のトンカチマークをクリックする。
RAID5を選択して、全ディスクにチェックを入れ、「RAIDアレイの設定」をクリックする。
番号入力欄に表示された番号を入力し、「設定」をクリックする。
ディスクアレイの構成が終わるのをちょっと待つ。
アレイの構成はあっという間に終わる。
ディスクアレイの構成はすぐに終わるが、ディスクチェックが1週間ほど続く。その間はパフォーマンスが低下するけど気にしない。このディスクチェックは定期的に行う設定にしておいた方がいいのだが、チェックのたびにこのくらいの時間がかかるので間隔は隔週か月に一度にしておかないと、次のチェックまでに前のチェックが終了していないという事態に陥りかねないので注意が必要だろう。また、ディスクが一つ壊れて入れ替え、ディスクのリビルドを行う場合、とんでもない長時間を要する。その間に2つ目のディスク障害が発生すると言ったことも良く起こる。同時期に買ったHDDは同時期に一斉に壊れることが多いからだ。HDDが壊れていなくても時期をずらして少しづつ入れ替える運用も必要だろう。RAID5ちゃんを過信してはいけないのだ。
ともあれ、安価にNASをパワーアップさせ延命させることに成功した。これが運用限界を迎えるころにはRAID-Z対応のもっと大容量のNASが安価に手に入るようになっているだろう。また湯水のように気にせずにストレージを使える環境が整ったのはとてもよい。中古でよければ、”BUFFALO TS-0.3TGL/R5 外付LAN HD RAID5対応”が6000円ほどで買えるので、今回と同様の手順でWinstonDesital Green 3.5inch IntelliPower 2.0TB 64MBキャッシュ SATA3.0 WD20EZRX/Nを使えば、4万円台で8TBのNASを作ることができてしまう。しばらくはこれでウハウハしようと思う。