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2012-01-30 10:42 by 仁伯爵

 土曜日の夕餉は、骨付き鳥もも肉の空揚げと、温野菜を自炊すると決めた。昨今自炊と言えば、書籍の自前スキャンが話題だが、私の中では自分で食事を作ると言う意味がまだまだ第一だ。

 なぜこの献立かと云うと、スーパーで近所の主婦に交じってお買い物をしている途中、若鳥が店頭価格よりレジにて3割引きであると言う朗報を、売り場前に仕掛けられたカセットテープで再生される男性の声が教えてくれたからだ。私は嬉々として、骨付き鳥もも肉を、卵、とろけるチーズ、適当な野菜と共にかごに入れ、レジへと向かったが、私が選んだ鶏肉は若鳥では無く、地鶏であったため割引対象外だった。何という悲劇。地鶏と若鶏の違いを理解していなかった私の不覚である。自らのミスに対しどう対処するか、これは人として生きる上で重要なポイントだ。自分に対する戒めは必要である。しかし、アインシュタインは言った、「なぜそんなに自分を責めるのですか?いいじゃないですか。他の人が責めてくれるんだから。」と。その通りだ。今回のこの件に関して、「若鳥と地鶏はスーパーの売り場に置いて区別される」という新しい真理を手に入れた事を収穫とし、二度と同じ過ちを犯さない事を胸に誓い、潔く支払いを済ませスーパーを後にした。

 鶏のから揚げは、失敗しにくい料理の一つである。地鶏のモモ肉など、ちゃんと火を通すだけでうまい。しかし、油断は大敵である。下味をつける手間を惜しんではいけない。買ってきた肉に醤油をまぶして、すりおろしたショウガを塗りたくってしばらく置いて下味が付くのを待つ。その間にニコニコ動画でアニメを鑑賞した。偽物語は素晴らしい。戦場ヶ原さんにも蕩れ~だが、神原駿河が実に良い。

 余韻に浸りつつ、買ってきた野菜の皮をむき、ちょうどいい大きさに切って、軽く濡らし、電子レンジでチンする。人参とジャガイモは6分、キャベツは1分で温野菜の完成だ。電子レンジが回っている間に、油を入れた鍋を熱し、それを横目に肉に小麦粉をまぶそうとしたその時、本来小麦粉がある筈のその場所に私は虚無を目にした。そうだった。この間、お好み焼きを作ったときに使い切ってしまったのだ。またしても不覚。うなだれる私に再び、アインシュタインの声なき声が優しく語りかけた。「なぜそんなに自分を責めるのですか?」そうだったよアインシュタイン。私はもうくじけない。冷静さを取り戻した私の目は台所の隅っこにたたずむ片栗粉を見逃さなかった。

 小麦粉が無ければ片栗粉を使えばいいじゃない。

 竜田揚げに路線変更である。肉に片栗粉をまぶし、油に菜箸を漬けて泡が出ることを確認し油の温度を確かめる。今だ、今しかない、と言う確信と共に肉を油に投入し、火が通るのまでの間は心地よい油のはじける音に耳を傾ける。料理は目と舌で味わうと言うが、耳で味わう事が出来るのも自ら料理を行う者の特権である。その横で小さい鍋でだしを取る。飛魚(あご)だしである。肉を一度油から上げた後、二度揚げする。サクサク感がさらに倍してドンである。冷凍して置いてある炊き立てご飯を解凍し、温めて、出しに豆腐を入れ、ひと煮立ちした所で味噌を溶きいれ、ご飯とみそ汁の準備が整う。

 これで、ごはん、味噌汁、地鶏の竜田揚げ、温野菜が食卓に並んだ。我ながらマーベラスな食卓である。一人で食べるのが惜しいほどに。ごはんには、20%玄米が混ぜてある。うん旨い。竜田揚げも旨味と共に肉汁がにじみ出る。うまくできている。味噌汁もそうだ。飛魚出汁がしっかり出ていて宜しい。温野菜にマヨネーズをかけて噛る。人参は中まで柔らかい。キャベツもしなやかに口の中になじむ。最期のジャガイモはどうか。ジャガイモは中がまだ生だ。ガリガリと言っている。火が通っているジャガイモと、通っていないジャガイモの差が激しい。半分は生のジャガイモをガリガリと噛る。嗚呼、生だ。。。ミスった。。。三度目ともなると、これ以上アインシュタインに甘えるわけにはいかない。電子レンジにて再加熱すれば火を通すことは可能だが、自分への戒めは必要だ。このまま最後まで食べた。これで良い。

 ジャガイモ以外は、概ね旨かった。しかし、日々の生活の中には落とし穴が我々の自覚する以上に潜んでいる。アインシュタインは、他人に責めてもらえと言うが、誰にも見られていない時には、やはり自分で正す必要があるだろう。その一例が、ジャガイモを生で食べると言う事なのだ。

今日の一句

 生で喰う 芋で正せし 我が矜恃

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