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2015-08-13 15:58 by 仁伯爵

個人のカテナチオ

 あなたは鍵をいくつお持ちだろうか。家の鍵、車の鍵、デスクの引き出しの鍵、金庫の鍵、NASのHDD取り出しロックの鍵、倉庫の鍵、貞操帯の鍵、アタッシュケースの鍵、色々あるだろう。数えてみると案外多い。家の鍵しかないよ、という方もこれを機に玄関の鍵の増設を考えてみてはいかがか。玄関の鍵などは開け方さえ知っていれば簡単に開けられてしまう。ピッキング対策が施されたティンプル錠も、ピッキングしにくいと言うだけで他の開け方が存在している。どれだけ破られにくい鍵を用意したところで、完全に破られない鍵などというのは幻想に過ぎない。そうであるならば、鍵は開けられてしまうと言う事を前提に対策を考える必要がある。セキュリティーとはそういうものだ。では、具体的にどうすべきか。玄関のカギを増やせばいいのだ。鍵一つ一つを開けるのは簡単な単純作業でも、その反復にかかる時間が長ければ、侵入者は錠前破りの現場を目撃される確率が高くなる。そのため、鍵がたくさんついているとみて分かるドアは錠前破りの標的となりにくいという。さらに、そのような手を講じることが、防犯意識が高く他にも侵入者をひっかける罠がたくさんあるよ、というメッセージとなり侵入者を寄せ付けにくくなるという効果も期待できる。常に一つの対策が複数の効果を生むようでなければ、その対策は講じるに値しない。その点において、玄関を複数の鍵で施錠すると言うのは策として最低限の要件を満たしている。その次に考えるべきは、玄関の扉を複数の鍵で施錠すると言うその対策を取った場合、どのような影響が考えられるかだ。複数のカギによる対策が一手先を読むことだとするなら、その影響を考慮すると言うのは二手先を読むと言う事だ。相手の上手を取ろうとするならばそのくらいは当然の事としてせねばなるまい。玄関に複数の鍵を付けることによる影響とは、一体何か。それは、鍵が増えてジャラジャラしてなんかカッコ悪くなってしまうと言う事だ!

二手先の対策

 鍵は一般的に、銅とニッケルの合金や真鍮などの金属が主に使われている。それらを纏めておくには、鍵を刺して回すことを考えある程度の取り回しの自由度を持たせる必要がある。その要件を満たす鍵の携帯方法としてキーホルダーにぶら下げると言うまとめ方が伝統的になされてきた。しかし、キーホルダーにぶらぶらと鍵をぶら下げると、金属同士がぶつかり合い結構な騒音を発する。その騒音は周りに鍵束の所有者の存在を知らせてしう。それでは狩人として失格だ。昆虫採集でも魚釣りでも、獲物にこちらの存在を知られてはいけない局面においてことごとく騒音を鳴らして回ることになってしまう。アウトドアだけではない。街中でも映画館など静寂を求められる場所で、動くたびにジャラジャラと音を立ててしまうようなことがあっては紳士淑女たり得ない。空き巣の侵入を防ごうとしたばかりに、狩人として大自然にも、紳士淑女として街にも居場所を無くすという事態に陥ってしまうのだ。だが安心してほしい。それに対するソリューションが最近とても流行っているのだ。十得ナイフのように鍵をまとめてしまえばいい。その種の製品としてはKeySmartが有名だが、Kickstarterを軽く検索しただけでも以下の通り多数の類似商品が出資を求めてせめぎ合っていた。

 Thingiverseでもたくさんの有志が作成している。

 これはちょー流行っていると申し上げても過言では無かろう。この数の多さから見ていささか熱狂が過ぎるようにさえ思える。だが待て、参入者が多いと言う事は、それだけ魅力的であると同時に高い技術が必要ない参入障壁の低い商品であると言う事だ。

多すぎる選択肢からは選択しないと言う選択

 ではどれを使えばいいか。これだけ選択肢があるのだからより取り見取りだ。ざっと見た結果求める要件は、鍵が取り出しやすい工夫がしてあって、留め穴が小さい穴の鍵でも留められて、止める鍵の数に合わせある程度融通がいて、デザインがカッコイイものをと言ったところか。だが見れば見るほどその条件をすべて満たす者が無い事に気づいた。ならば、参入障壁の低いこの製品、自分で作ってしまえばいい。どうせ作るなら上の製品が持っている機能全部盛りの欲張り仕様で作ってみようと思う。盛り込む機能は以下の通りだ。

  • 取り出す鍵の反対側を押せば鍵が飛び出す形状
  • 鍵の数によって調整できる幅
  • 3mm以下の留め棒
  • USBメモリーキー搭載
  • 栓抜き搭載
  • スマホスタンド機能
  • キーホルダー用のつなぎ穴
  • かっちょいいフォルム

 LEDライト機能は、スマホで代用できるだろうとの判断から今回は盛り込まない。そうしてできたのが、鍵ホルダー 十得くんである。
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 3DデータのモデリングはRhinoceros5で行った。この3Dデータを3Dプリンターで出力するとこんな感じだ。横の金具はM3の皿ネジと、M3の爪ナットだ。
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 それでは、それらを組み立ててみよう。

鍵ホルダー 十得くんの組み立て

 まず、本体の2枚の板を重ね合わせて方向を確認する。
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 ザグリ穴になっていない方の板の外側になる部分に、爪ナットを当てて位置を決める。
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 ちゃんとはめ込むとちょっとはみ出すように作ってあるので、間に緩衝材となるものを挟んでM3ネジで反対側から締めて爪を本体にしっかりと食い込ませる。
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 隙間がきっちりと無くなるまでねじ込む!
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 しっかり食い込ませるとちょっとはみ出す。この状態になるまで、2か所ともねじ込む。
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 次はザグってある方の板にM3ネジをはめる。
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 2箇所とも挿入して置く。
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 一つ目の鍵をはめる前に、ワッシャーを通す。
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 大小さまざまな鍵のサンプルを用意してみた。写真に写っているのは今はもう使われていない鍵である。インターネットに自分が使っている鍵の写真をアップロードしてはいけない。その画像から合いかぎを作ることができてしまうからだ。鍵の本体が映っていなくても、鍵に刻印された番号だけでスペアキーを作ることも可能だ。鍵が映った写真をアップするときには細心の注意を払うべきだ。このブログや私のツイッターに投稿されている鍵の写真は、今はもう使われていない鍵を撮影したものだ。皆さまはくれぐれも使用中の鍵の写真をアップロードなどゆめゆめなさらぬようご注意願いたい。
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 いよいよ鍵を閉じていく。ワッシャー、鍵、ワッシャーといちいちワッシャーをはさみながら鍵を追加していく。
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 ワッシャーによって適宜、鍵と鍵の隙間を調整しながら鍵を重ねていき、最後は2箇所の高さが同じになるようにワッシャーで調整する。
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 最後に蓋をして抑える。
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 抑えたまま裏返して、ネジを締める!
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完成だ!とてもかっこいい!
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 開くとこんな感じ。
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 5つの鍵を止めているが、この時は長さ20mmのM3ネジを使用している。この状態で持ち歩けば、じゃらじゃら音を鳴らさずに多くの鍵を携帯することが可能となった。もう狩りにも映画館にも安心して出かけることができるだろう。

要件を満たすためのオプションの追加

 鍵をたくさん留めることを想定しているので、一つ一つの鍵が取り出しやすくなければならない。はさむ板の真ん中がくりぬいてあるものがあるが、あれでは両端に挟んだものしか取り出せない。十得くんはそうではなく、取り出したい鍵の反対側を押すことによって取り出したい鍵が飛び出すように考えられた形状となっている。また、キーホルダーに通すための穴は鍵によってその大きさがまちまちである。KeySmartについている留め棒の太さは約4mmで手持ちの鍵では留められないものがあった。留め棒は3mm以下がいい。そして、留める鍵の数によって留め棒の長さが調節できなければならない。と言う事で、留め棒となるネジには、M3ネジを30mmから5mm刻みで25mm、20mm、15mmを用意した。
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 15mmでは短すぎてこの後でてくるUSBメモリーや便利ツールをを留めると肝心の鍵が止められないので、20mm、25mm、30mmの3種類だけでよかったかもしれない。反対側の留め具はM3の爪ナットを使う。ネジ部分が5mmあるので、割と融通が利く。

 USBメモリーキーは、KeySmartにはキングストン USB2.0メモリー がオプションで選べる。しかしせっかくなので今回はUSB3.0の物を使いたい。先に示した数々の候補たちの中には、かぎ型のノーブランドのUSBメモリーキーを採用したものが多くあった。それらは、端子がむき出しになっているため汚れに弱く、ノーブランドのUSBメモリーキーは突然データが読みだせなくなることもしばしばであると言う覚悟の基に使わねばなるまい。はやり、防塵防水耐衝撃で永久保証がついているものがいい。SP シリコンパワー USB3.0 メモリーを使うことにした。

 栓抜き機能はついていると便利だ。どうせならマルチツール的なものを付けたい。薄い小型の刃物を付けることも可能だが、そうなると本当に十得ナイフになってしまう。飛行機に持ち込めなかったり、銃刀法違反で検挙されたりして没収されると家に入れないという事態に陥りかねない。そういった類の物はつけないに限る。瓜田に履を納れたり、李下に冠を正したりはしないほうがいいのだ。あくまで刃がついていないものを選ぶ。NITEIZE(ナイトアイズ) DOOHICKEY QUICKEY KMTQK-11-R3 を使用する。

 SP シリコンパワー USB3.0 メモリーNITEIZE(ナイトアイズ) DOOHICKEY QUICKEY KMTQK-11-R3 の形状は流線形になっていて平坦な形をしていない。
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 このまま挟むと、斜めになってしまい隣の鍵と干渉ししまう。SP シリコンパワー USB3.0 メモリーに関しては、ワッシャーより穴の方が大きいのでそのままでは留めることができない。
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 これらの問題を解消するため、形状に合わせてそれぞれ専用スペーサーを作ってみた。
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 試しに挟んでみるとこんな感じになる。完全ではないにしろ斜めになっている角度を許容範囲内に収めることができた。
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 本体に組み込んでみると、SP シリコンパワー USB3.0 メモリーはこんな感じ。真っ直ぐ収まっている。
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 NITEIZE(ナイトアイズ) DOOHICKEY QUICKEY KMTQK-11-R3 はこんな感じ。これも真っ直ぐ収まっており、回転させても隣のカギに干渉すると言う事は無かった。よしよし。
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 つづいて、スマホスタンド機能だ。こちらはキーを開いて下の画像のようなポジションにする。
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 そしてスマホを置いてみると、見事に立つ!
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 後ろはこんな感じで鍵が支える。少々強引な気もするが、これで他の製品に倣ってスマホスタンド機能も搭載していると言えるだろう。
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 最後は、キーホルダー用のつなぎ穴だが、これが切れると鍵をまとめて紛失してしまうという事態に陥る。3Dプリンターで出力するように設計すると強度を出すためにおっきなパーツになってしまう。それよりも、ステンレス製の丈夫な既存製品ものを使うのがいい。そこで、このステンレス クリップジョイントを使用することにした。

 これを取り付けてみよう。
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 厚さは1mm強なので鍵を一枚増やすのと同じくらいだ。本体についたらこんな感じだ。
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 そこに、ベルトに留めるゴツイキーホルダーを見つけたので取り付けてみた。
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 これで、掲げた要件をすべて満たしてとてもシンプルで組み立てカンタンなキーホルダーが完成した。これだけの機能を詰め込みながらも決してごつくなく、持ち運びやすい小ささを実現している。部品もすべて市販品だ。ホームセンターやamazonで手に入る。今市場に出回っている日本国内で手に入るキーホルダーの中で、十得くんがおそらくベストなソリューションであることはほぼ間違いない。多くの人の鍵をシュッと纏め、シュッとした雰囲気を醸し出すのに一役買うことができるだろう。十得くんの3Dデータは銀仁堂で絶賛発売中である。皆さまもぜひこの機会にシュッとしてみてはいかがだろうか。

3Dデータ 鍵ホルダー 十得くん

十得ナイフ風キーホルダー「十得くん」がやってきた!

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