叩くよりねじ込め
前回、最大の難関であるはんだ付けを乗り越えて、今回はいよいよ本体を組み立てる。組み立てと言っても、組み立て済みの本体の部品を交換するだけだ。インチ規格の六角棒レンチと面取カッターがあれば事足りる作業である。分解する部分は反射鏡のついた造形台の部分だけだ。とはいえ、いろいろ手こずった。今回の組み立てから得られる教訓は、叩くよりねじ込む方がうまくいく、と言う事だろう。では、いってみよう。
ザ・解体
必要なところまで分解して、組み立てる段階で新しい部品を以て組み立てなおしていく。これは分解前の状態。
造形台が取り出せたので、組み立て時に剥がし忘れていた保護シートを剥がしてしまう。すると、驚きの白さだ!
ここまでで分解は完了だ。あとは改造しつつ組み立てていく。
造形台のザグリ穴加工と取り付け
組み立てる前に、取り出した造形台パネルをアルミフレームに取り付けるネジ穴をザグリ穴加工する。そのうえで取り付けネジを皿ネジに取り換えることで、チルト用の台に干渉しないようにするのだ。そのために10mm径の面取りカッターを用意した。
この面取りカッターを電動ドリルに取り付けて写真の2か所をザグリ穴加工してみた。実際やってみて10mm径の面取りカッターでは小さすぎた。削りながらドリルを斜めにしてぐるっと一回転させることで取っと穴を大きくしてみた。本当ならば12mmのカッターくらいがちょうどいいのかもしれない。ぐりぐりやった割には綺麗にできたと思う。
この造形台を元の位置に戻す。この時ザグリ穴加工した穴には、元のネジではなく、M5x20mmの皿ネジを使う。ザグリ穴加工していない奥のネジは元のネジのままで大丈夫だ。ネジ頭が出っ張っていないことを確認する。
ここのザグリ穴加工が今回の最大の難関かもしれない。ここからはサクサクと作業を進めていこう。
つづいて、ミラーについているM4x50mmのネジを、キットの中にあったM4x40のネジに交換する。写真の右がもともとついていたM4x50mmのネジ、左がキットに含まれているM4x40mmのネジだ。
右手前だけ変えてナットで留めてみた。一本だけ短いのが解かるだろう。他のも短くしてしまおう。
ミラーのネジを4本とも取り替えたら、それを止めるパーツを用意する。円柱型のパーツにM4ナットをはめ込んでいく。手でグイッと押せば簡単に入る。
これを使ってミラーホルダーを台座に取り付ける。ついでにアクリルフードホルダーも取り付けてみる。
さらに、ゴムシートをカットして、10mm x 36mm のシート2つと、7mm x 50mm のシート1つを作る。
前回の記事でもふれたが、オリジナルのパーツではアクリルの板がペトリ皿を支えて斜めにするつくりになっている。そのため厚さ6mmの透明なアクリル板を通った光によって紫外線硬化樹脂を硬化させることになる。それでは光が屈折したり弱くなったりしてしまいそうな気がする。アクリルは傷つきやすいのだ。ならばと、公開されているパーツから、穴の開いた代替パーツをモデリングし、3DプリンターでPLA樹脂を使って出力してみた。右がオリジナルのアクリル板、左が自作した代替パーツである。今回はこの代替パーツを使って組み立てていく
ザグってある穴6つにM4x40mmの皿ネジを突っ込んでいく。
裏っかえしてワッシャーをかませてM4ナットで留める。
つまみにM4ナットをハメる。これがなかなか硬いので一筋縄ではいかない。
あまりに難いので、最初はトンカチでガンガンやっていれようと試みたが、余ったネジと蝶ナットで解決できた。まず、余ったネジに蝶ナットを刺す。
そこから、ツマミ側の蝶ナットをねじ込むことで押し込むことができた。蝶ナット万能論である。
さらに、ペトリ皿を抑える足型のパーツも、M4のネジががばがばになるまで穴に棒を刺して出し入れする。これも、余ったネジに足型パーツを刺して、足型パーツが回らないようにしながら蝶ナットをねじ込んでいけば、ねじ山でパーツの穴が均されてガバガバにすることができる。蝶ナットは万能なのだ。
見事穴をガバガバにすることができたら、足型パーツをチルト台に付けた6本のネジに付けて、ツマミを真ん中の3本、左右で6本のネジに付ける。
だいぶ形が見えてきた。このままでは動かないので、動かすための機構を取り付けていく。
ステッパーモーターの取り付け
ステッパーモーターにかぶせられているカバーを外して、根元についているパーツを取り外す。
取り外した黒いパーツと、チルト台を押し上げるパーツをM3ネジで固定する。
ステッパーモーターの底部のネジの対角線上のものを2本はずす。4本ともはずしちゃうとモーターが解体されてしまうので外すのは2本にとどめる。
このネジもキットについていた長めのM3x50mmのネジに取り換える。
底のパネルを貫通したネジをモーター挿入して、こんな感じでモーターを固定する。
手でモーターのネジを回して、二俣のパーツが穴に挿入され、チルト台に接触するまで持ち上げる。
最後に、ペトリ皿を固定する金属製のネジを元に戻して、プリンターをマウントしなおして完成だ!
叩くよりねじ込め!という感じで何とか完成させることができた。これで電気的にも機械的にもチルト機構が備わったことになる。ここまでを見る限り、ちょうどいい長さのネジを備えたステッパーモーターさえ準備できれば、秋月電子さんやAmazonやRCコンポーネンツやMONOTAROで部品をそろえてチルトキットと同等の物が作れちゃいそうだ。それほどAruduinoシールド基盤とプリントパーツ以外は汎用的な部品で構成されている。あとはソフトウェア的にちゃんと動作するようにセッティングしてあげる必要がある。それを怠ればモーターが逆に動いたり、チルトがうんともすんとも言わなかったりするのだが、それはまた次のお話。お楽しみに!