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情報通信技術
2015-08-10 14:53 by 仁伯爵

3年前の悪夢

Windows8へのアップグレードインストールで入れていた商用ソフトがまっさらに消されてしまったあの悪夢がつい最近のように感じていたが、先月の7月29日からもう次期バージョンであるWindows10の配信が開始されている。そのかん3年だ。Windows7とWindows8、Windows8.1のユーザーは無料でアップグレードできるという。右下のタスクバーに白いウィンドウマークが勝手に表示され始め、Windows10へのアップグレード予約ができるようになってすぐに予約して置いたのだが、配信開始から1週間と少し経った先日、ついにアップグレードの準備ができたとの表示が我がメインPCに表示された。VistaからWindows8へアップグレードインストールを行った時には、環境が引き継がれずにまっさらになってしまったが、今回Windows8.1からWindows10へのアップグレードは、Windows8からWindows8.1の時と同じく環境がすべて引き継がれ、インストールしているソフトウェアなどもそのままの環境が使える。それがGUIのボタンをぽちっと押すだけで実現できてしまうのだからWindowsの技術力たるや恐ろしいとすら感じる。UNIXやLinuxであれば、アップグレードガイドを参照しながらコマンドをバチバチと打ち、返されるエラーを調べつつ根気よくトライアンドエラーを行う大仕事になるだろう。しかもそれが世界中にある何億という環境の多くで完了するように作ってあるというのだから、Windowsというブラックボックスは常人の理解を軽く超えている。

バージョンアップとメーカーとユーザー

使用しているソフトウェアの新バージョンがリリースされたとき、メーカー側はいち早く新バージョンへ移行することをユーザーに望む。Windows XPが根強い人気で新バージョンへの移行がなかなか進まないことにMicrosoftが頭を悩ませていたのは記憶に新しい。一方で、ユーザーは新バージョンに当然含まれているであろう不具合が顕在化されある程度潰されてから移行したいと考える。開発が継続しているソフトウェアは、運用実績が長ければ長いほど不具合が顕在化しつくして安定してくる。新しいソフトウェアは新しければ新しいほどに、潜在的なバグにぶち当たるリスクが高い。ある程度バグの修正パッチがたまった後にリリースされるサービスパック1や2あたりが行きわたった後に移行するのが理想だ。WindowsXPもその評価が高まったのはサービスパック2がリリースされた後だったと記憶している。人がコーディングを行い、人がテストを行う限りバグはなくならない。バグのないソフトウェアなどこの世には存在しないのだ。

新たなる世界の礎とならん

リリース直後のこの時期に基本ソフトたるOSをWindows10へバージョンアップするのは大きなリスクが伴う。慎重なユーザーは安定したと判断できるまで移行を保留するだろう。Windows10への無償アップグレードは1年間なので、その期限内で様子見をするというのは合理的判断であると言える。しかしながら、皆が移行をためらっていては、Microsoftに情報がたまらず、いつまでもWindows10が安定しないと言う事になる。全員が合理的判断をすると、その合理的判断は非合理となるのだ。誰かがリスクを冒さねばならぬ。昔からソフトウェアの世界ではそのようにリスクを冒し自己を犠牲にしても新しいものを試す者たちを人柱とよぶ。ソフトウェアの礎にはそのような人柱が埋まっているのだ。とは言え新しいバージョンをいち早く使ってバグにぶち当たったところで死ぬわけではない。大昔の建物の下に埋められた人柱に比べる時楽なものである。いち早く新しいものを体験すると言うのは楽しくもある。しかも今回は無料だし、アップグレードしても設定や環境も引き継がれると言う。勇気を出してメインPCでやってやろうじゃないか。

冒険の前にセーブポイントを作る

Windows10のアップグレードに予約したユーザーへの配信は順次行われるので、通知が来るまで大人しく待つしかない。でも待てないならば、Microsoftからアップグレード用のインストールイメージをダウンロードして通知が来るのを待たずしてアップグレードすることも可能である。ここでダウンロードできるインストールイメージは、OSを一から再インストールするときにも使えるのでダウンロードしておくといいかもしれない。

・Windows 10 のダウンロード

試しに、どうでもいいPCで上記サイトからインストールイメージをダウンロードしてアップグレードしてみたがエラーなくアップグレードでき、問題なさそうなので通知が来たメインPCのアップグレードに踏み切ってみる。その前に、何かあった時のためにWindows8.1環境のバックアップを取っておく。

コントロールパネルから、”ファイル履歴でファイルのバックアップ コピーを保存”をクリックする。
windows10upgrade001_red

左下の”システムイメージバックアップ”をクリックする。
windows10upgrade002_red

バックアップを保存するメディアを”バードディスク”、”DVD”、”ネットワーク上の場所”から選んで、”次へ”をクリックする。
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今回はネットワーク上の場所をクリックしたので、”選択”をクリックしてあがってきたウィンドウでネットワーク上の場所を指定して、ユーザー名とパスワードを入力してOKボタンをクリックする。
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バックアップに含めるパーティションを選んで”次へ”をクリックする。
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指定した情報に間違いがないことを確認して、”バックアップの開始をクリックする。
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今回は、NAS上にバックアップを取ってやろうと思ったが、メッセージID”0x807800C5”のエラーが表示されてバックアップできなかった。
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どうやらNAS側のSambaサーバーのバージョンが合わないとバックアップ先になれないらしい。なので、先にWindows10へアップグレードしたどうでもいいPCをネットワーク上のバックアップ場所に指定してバックアップしてみたら、うまくいった。
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うまくはいったが、バックアップ完了までに30時間くらいかかった。

いざ、Windows10の世界へ

いざという時の備えもできたので、白いウィンドウズアイコンをクリックして”Windows10を入手する”ウィンドウを表示させて、続行をクリックする。
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いよいよアップグレードの幕開けだ!ヒャッハー!
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ソフトウェアライセンス条項が表示されるので、Windows10が使いたければ同意するかないので”同意する”をクリックする。おひまならライセンス条項を読んでみると面白いかもしれない。ダウンロード権についてなど、かかわりのありそうな黒目も結構あって面白い。
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準備してる間待つ。
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今すぐアプグレードしたくない場合は、時限式爆弾のようにスケジュールして後にアップグレードを行わせることもできる。でも今回は”今すぐアップグレードを開始”をクリックする。
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すると、再起動の準備に入る。
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再起動されてあがってくると、UIがWindows10ぽくなってくる。まずはファイルのコピーから。
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30%になったあたりでファイルのコピーが終了してもう一度再起動がかかり、機能とドライバーのインストールが始まる。ディスプレイドライバーなんかもガチャガチャしてるらしく画面が暗くなったりするが気にせずにゆっくり待つ。
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機能とドライバーのインストールが終わるとまた再起動がかかり、設定の構成が始まる。もう一息だ。
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「ようこそ、こんにちは」と言われるので、「ドーモ、Windows10=サン、仁伯爵デス。」と挨拶を交わしてパスワードを入力する。ユーザーはWindows8から引き継がれているので前の環境の物をそのまま入力すればいい。入力が終わったら、”次へ”をクリックする。
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すぐに使い始めることができると言われるが、せっかくなので詳細設定を行いたい。”設定のカスタマイズ”をクリックする。
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このあたりはデフォルトでは”オン”になっているが、取りあえず全部”オフ”にしておいて、不便や不都合があったら”オン”にすると言う方針で、全部”オフ”にしておいた。
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既定のアプリを新しいアプリにしろと言われるが、嫌なので”既定のアプリを選択”をクリックする。
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するとアイコンにチェックボックスが現れる。全部オンになっている。
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全部外す。慈悲は無い。
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言われるままにしばらく待つ。
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これがこのセットアップの最後の画面だ。この画面の後、デスクトップが立ち上がる。
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セットアップを抜けると、そこはWindwos10だった。

Windows10へアップグレード前と後

無事、エラーに出会うことなく数回のクリックのみでWindows8.1からWindows10へアップグレードすることに成功した。しばらく使ってみた感じはとてもいい。会計ソフトや、RhinocerosやDesignSparkMechanicalなどの3DCAD、フリーソフトもWindows8.1にインストールしていたソフトは一通り問題なく動いている。Rhinocerosは初回起動時に、はじめて読み込むプラグインがあると言うメッセージが表示されて、ライセンスが認識されていないのかとひやひやしたが、立ち上がると問題なくライセンスが認証されていて、しばらく使ってもエラーに出会うことは無かった。ただ、デュアルディスプレイ構成にしているのだが、古い液晶の解像度が1024×768なのだが、どうしても1280×768として認識されてしまい、その状態で動画を再生しようとするとディスプレイが認識されなくなると言うトラブルに見舞われたが、Windowsを再起動してグラフィックカードのドライバーから解像度設定をもう一度”適用”させることで解像度が正しく認識され、問題が解消した。

3D Builderという3Dデータ作成ソフトがインストールされているのを見つけたが、使い方がいまいちよく分からない。しかし3DもWindows標準で編集できる時代になり、どんどん垣根が低くなって一般化されていくといいなあと感じた。

あと、ネットバンキングについてだが、みずほビジネスWebへは、InternetExplorerとMicrosoftEdgeの両方で証明書ログインが可能だった。みずほe-ビジネスサイトは、InternetExplorerでのログインはできたが、MicrosoftEdgeではエラーページへと飛ばされてしまいログインさせてもらえなかった。このあたりは銀行の公式見解としてはWindows10はまだサポートしないと言う事だが、実際はInternetExplorerを使えば問題なく使用できそうだ。使用するかどうかは自己責任であるが、いつ終わるとも知れない銀行の検証を待つ必要もないのかもしれない。それこそ人柱となって銀行のネットバンキングにWindows10からのアクセスを浴びせてアクセスログにWindows10の名を刻み込んでやれば、銀行側をせっつく効果くらいはあるかもしれない。

あと、メインPCではトラックポインタが使いたくてIBM Travel Keyboardを使用しているのだが、Windows10でついかされたEdgeなどのフラットデザインの新しいソフトウェアたちでは、真ん中ボタンとスティックポインタ―の傾きで画面をスクロールさせることができなかった。Windowsメニュー出も同様だ。マウスのホイールではスクロールできるのに、真ん中ボタンとスティックポインタの組み合わせではスクロールできない。UIの作りが新しいものと旧来の物で全く別なのかもしれない。スクロールできないので新しく追加された類のソフトは敬遠がちになる。さらに、Windowsフォトで画像ファイルを開くと、上部にメニューが表示される。
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これが一定時間で自動的に隠れるようになっている。
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いざそのメニューを使おうとマウスのポインタを合わせても隠れたメニューが再表示されない。
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イライラしながらクリックを繰り返すと、ようやく再表示される。これはとてもイライラする。隠れる必要などないじゃないか。それで拡大される表示領域などたかが知れている。UIの細かい部分でユーザーフレンドリーではないと感じることが多い。UIにメニューを隠されていじわるされているような感覚があって好きになれない。

全体的にはWindows8.1の時よりも安定して動作していると感じる。Windows8.1の時は、Webでニコニコ動画を見ながら、映画やエッチなDVDを再生するなど、高解像度の動画を同時に別のアプリで再生すると片方が必ず異常終了していた。しかしWindows10になってからはそのようなことが無くなった。また、NASに大きなファイルを転送すると通信が安定しなくて困っていたのだが、Windows10にしたらなぜかLAN内の通信が安定した。おそらくネットワーク回りも改善されているのだろう。このまま調子よく動いてくれれば、どうやら取得したバックアップでWindows8.1に戻さなくて済みそうだ。Windows8のサービスパック1がWindows8.1で、サービスパック2がWindows10であるようなそんな印象を受ける。愛すべきOSとなるかどうか、しばらく様子を見てみようと思う。

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