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2017-10-01 18:32 by 仁伯爵

シュークリームを求める根源的欲求

 甘いという言葉は、うまいという言葉の語源であるという。甘いものはうまいのだ。さらに糖分を含んだ甘いものは、糖分をエネルギーとして活動する脳の働きを助ける。動いてないのに疲れた、そう思うときに砂糖のたっぷり入った甘いものを食べるのは理にかなっている。なぜこのような話をするかというと、吾輩が甘いものを好む事を自己正当化するのに援用するためだ。甘いものはいい。荒んだ心を癒してくれる。空腹感も見事に沈めてくれる。人は絶望し動けなくなった時、シュークリームを食べるべきだ。シュークリームは素晴らしい。中にカスタードクリームとホイップクリームが半々で入っていれば、それを食しながら味のハーモニーの何たるか解さぬものなど居ようはずもない。焼いた皮の香りも良い。熱い珈琲とともにあればなお良い。食べたい。熱い珈琲を飲みながら甘いシュークリームを食したい。だが金が無い。ならば自炊すればいい。これを機に、シュークリームが何からできてどのような工程をへて形を成すのか、知っておくのも悪くない。シュークリームの材料は意外と少ない。カスタードクリームの材料も含めても、水、牛乳、薄力粉、バター、卵、砂糖、サラダ油、バニラエッセンス、これだけだ。追加購入する材料が無い。すべて冷蔵庫の備蓄で事足りる。お菓子作りなど女子のすることだなどと侮るなかれ。何かの拍子に冷蔵庫の中の材料だけでお菓子を作ってみようとなった時に、シュークリームなどサクッと作って見せれたらカッコよろしいではないか。それは初めてのお菓子作りに挑戦する動機として十分なものであると思えた。

カスタードクリームを作る

 まずはカスタードクリームから作っていこう。「シュークリーム 作り方」と検索窓にぶち込んで出てきたレシピの中で紹介されていたカスタードクリームの作り方を参考にした。具体的には以下の記事だ。

・シュクリームにホイップカスタードクリーム(クックパッド)

 上記のレシピではホイップクリームとカスタードクリームを程よく混ぜたホイップカスタードクリームなるもののレシピだが、これを参考にかたーどクリームを作ってみた。バニラビーンズは手元になかったのでバニラエッセンスで代用した。10個分の容量でやってみる。

 まず、牛乳300ミリリットルを測ってみる。
牛乳300ml
 これを、鍋に入れて火にかけ、ふちがちょっとだけ沸騰して泡立ってくるまで温める。ちょっとだけだ。けっしてぐつぐつに立たせてはいけない。
牛乳を温める
 牛乳が温まるまでの間に、砂糖60gを測る。グラニュー糖が無かったのでこれも三温糖で代用したが全く以て問題なかった。
お砂糖60g
 写真では伝わりにくいが、驚くのはその量である。60gの砂糖とはこんなに山盛りになるものだったのか。うずたかく盛られた砂糖におののきながらも、それをボールに入れた卵3個分の卵黄にぶち込んで混ぜる。
卵黄と砂糖を混ぜる
 薄力粉30g測る。
薄力粉30g
 薄力粉もボウルに入れて卵黄、砂糖、薄力粉が滑らかに粉っぽさがなくなるまでシャカシャカ混ぜる。
卵黄、砂糖、薄力粉を混ぜる
 そんなこんなしてると、牛乳がいい感じに温まってるので、牛乳の膜を濾しながらボウルの中に混ぜる。
温めた牛乳を投入
 これもなじむまで混ぜる。基本、測る、混ぜる、温めるの連続である。
混ぜる!
 しっかり混ぜたら、また鍋に戻して弱火で温めながらとろみが出るまで混ぜる。
鍋に戻す
 よく見るカスタードクリームくらいの硬さになったら、火を止めてしばらく冷ます。
弱火でとろみをつける
 冷めたところで、バニラエッセンスを少々振りかけて香りを整える。バニラビーンズを使う場合は、牛乳を温めているときに入れて香りをつけるが、バニラエッセンスは加熱すると香りが飛んでしまうので、冷めてから入れるといい感じに甘い香りが漂う。

 これでカスタードクリームが完成した!ちょろっと味見してみたが、ちゃんとカスタードクリームの味がする!これがとても旨い!これだけをカップに入れてスプーンですくって食べたいくらいにうまい。あれだけ砂糖の山を一山ぶち込んだのに、恐るべきことになんと甘さ控えめな上品な味なのだ。グラニュー糖を三温糖で代用したことが功を奏したのかもしれない。

初回、シュークリームの皮を焼いて失敗する

 続いてシュー生地を作るのだが、初回は失敗した。これはその失敗の記録である。成功例だけご覧になりたい方は次節まで飛ばして読んでもらいたい。ではどのように失敗したのか、ご覧いただこう。

 まず、卵3個をボウルに入れて混ぜる。今度は卵黄ではなく全卵である。
全卵3個を混ぜる
 薄力粉を80g測る。
薄力粉80g
 そして、ここでまず一つ間違えたのが、全卵と薄力粉を先に混ぜてしまったのだ。本来なら混ぜずに分けたままにしておく必要があった。でも混ぜてしまった。それが過ちだと知っていても、負けると分かっていても、挑まなければならない戦いがある。約束された失敗に向けてひた走るのみである。
全卵3個と薄力粉を混ぜてしまった
 正しい手順に戻って水125mlを測る。
水125mlを測る
 無塩バター70gを測る。ここでまたしてもその量の多さにおののく。バター70gってこんなに大盛りなのかと。お菓子にはバターが山ほど入っているとは聞いていたが、ここまでとは。麻のパンに塗るバター何日分だろうか。しかしひるんではいられない。70g必要なのだ。
無塩バター70g
 これらを鍋に入れ、サラダ油を小さじ2杯分追加する。
サラダ油小さじ2杯
 これが沸騰したらいったん火からおろす。
沸騰したら火からおろす
 薄力粉を入れ手早く混ぜ、溶き卵を数回に分けて少しずつ入れていくのだが、間違って事前に卵と小麦粉混ぜちゃってるので、それをドカッと入れてみる。
全部混ぜる!
 そうすると、なんだか卵焼きっぽいものができた。掬ったら逆三角になるどころか流れる気配すらない。だが、めげずにオーブントレイにオーブンペーパーを敷き、できた卵焼きのような何かを絞り袋に入れて、9個に分けてひねり出す。10個ではなく9個なのは、うちのオーブンレンジのトレイが正方形だったので、9個で並べると収まりがよかったからだ。
絞り袋でひねり出す
 誤った手順によって生み出されてはいても、そのひび割れ具合はシュークリームのそれに似て、いかにもうまそうではないか。オーブンを190℃に予熱し、そのまま20分焼く。
オーブンで焼く
 善戦膨らんでないが、心をおらずその後、180℃に下げて15分焼いて、火を落として10分ほど余熱で放置したのち、オーブンを開ける。
余熱で10分放置した後開ける
 油が分離してしまっている。おそらく、卵で油を乳化させてなじませるはずが、先に小麦粉に卵を混ぜてしまっていたので乳化せず、油が分離してしまったんじゃないかなー、などと考えてみたが本当のところはよくわからない。なんだかクッキーとパンのあいの子のようなものができた。
油が分離した失敗作
 明らかな失敗作ではあるが、生地の焼けた香りは香ばしく、これはこれで美味しそうだ。油をキッチンペーパーで拭きとり、真ん中で二つにスライスし、先ほど作ったカスタードクリームを挟んで、上から粉砂糖をかけてみる。
クリームを挟んで粉砂糖をかける
 ミニシュークリームができた!一つ食べてみると、膨らんでいない分ずっしりと重く食べ応えのある生地だ。おやつというより食事に近いが、これはこれで美味しい。なんといっても、自作カスタードクリームの旨さである。これは本当においしい。美味しいが成功とはいいがたい。何とかして生地を膨らませたい。リベンジが必要だ。負けられない戦いがここにある。

失敗の原因の追究

 なぜ生地は膨らまなかったのか。当然のことながら手順を間違えていたことが最大の原因であることは疑いようもない。だが、そこを修正したからと言ってちゃんと膨らんでくれるかというと若干の不安が残る。「シュークリーム 膨らまない」でWeb検索すると山ほどのヒットと先人たちの試行錯誤の跡を目にすることができるからだ。それらに目を通した結果、膨らまなかった場合に修正すべきポイントは以下のとおりであると推察される。

  1. 生地に対する練りが足りない。
  2. オーブンに入れる前に生地温度が下がってしまっている。(40度くらいがいいらしい)
  3. ひねり出してからオーブンに入れるまでに記事に表面が乾いてしまっている。
  4. そもそもオーブンの温度が低い。

 1の生地の練りが足りない件については、鍋の底に押し付けるように練って薄い膜が張るくらいになればいいということなのでこれはクリアされていた。

 2の生地の温度について、たしかに、オーブントレイに用意できてからオーブンの予熱を始めていたので、予熱完了までの間に冷めてしまっていた。これは改善の余地がある。生地のひねり出しが終わるのと同時に完了となるように、予熱開始のタイミングを計る必要がありそうだ。

 3の表面の渇きについても、予熱を待つ間に放置されて乾いてしまっていたものと思われる。これも予熱開始のタイミングを計ることで解決できそうだが、さらにオーブンに入れる前に霧吹きで生地の表面を濡らすことで、表面が固まるのを遅らせて膨らみやすくするというテクニックがあるそうなのでこれも試してみたい。

 4のオーブンの温度について、温度が低いと膨らまない原因となるらしい。焼いてる途中にオーブンを開くことも厳禁だ。「はじめ全開中ぱっぱその後ちょろちょろ、赤子泣いてもオーブン空けるな」である。語呂が悪い。予熱190度でそのまま20分、180度で15分焼くという手順だったが、温度を少し上げて別のレシピの予熱200度で10分180度で20分、160度で10分というパターンを試してみることにした。

2度目のチャレンジ

 上記のような反省をもとに、2度目のチャレンジを日を置いて行った。今度こそシュークリームを倒す。その決意に揺らぎはなかった。しかし結果的に微妙な感じになった。どう微妙だったのかを以下に述べる。

 カスタードクリーム作りは前回大成功しているので割愛する。自作カスタードクリームはうまい。その素晴らしさを反復したくはあるが、きっと読んでる人は退屈するだろうから泣く泣く割愛するのだ。生地は前回失敗した混ぜる順番の問題を克服し、バター、水、サラダ油を鍋で沸騰させたところに、火を止めて薄力粉をぶち込んで手早く練った。
バター、水、サラダ油。薄力粉

 そこへ卵3個分の溶き卵を、3~4回に分けて混ぜ込んでいく。混ざりにくいので根気よく練り上げる。ここまでは順調だと思ったのだが、心の中で悪魔がささやいた。卵3個分投入してみて、粘度が高すぎるのではないかという不安に駆られたのだ。卵もう一個入れたほうがいいのではないのか。結果、卵をもう一個追加してしまった。この決断が、微妙な結果を生むことになろうとはこの時は思いもしなかった。
卵4つ投入

 ここでオーブンを200度で予熱開始しておいて、オーブントレイにオーブンシートを敷いて、オーブン絞り袋で、いい感じの大きさにオーブン絞った。するとどうでしょう。粘度が足らなさ過ぎて平べったくなってしまったのだ。
ひねり出した様子

 粘度が低すぎて絞り袋から垂れる生地と悪戦苦闘してる間にオーブンの予熱が完了していたので、間髪入れずに200度のオーブンの中に投入した。200度のまま10分、その後180度に下げ20分、さらに160度にさげて10分焼いてみた。

 割といい感じに膨らんでいる。前回と比べると雲泥の差だ。とてもシュークリームっぽい。中を開いてみるとこんな感じ。割とちゃんと空洞ができているんじゃないだろうか。
中を開いた様子

 カスタードクリームとホイップクリームを挟んで粉砂糖を振ってみた。
クリームを挟んで粉砂糖を振る

 なかなかおいしそうなんじゃないだろうか。皿に盛って和洋折衷なテイストも出してみる。
盛り付け

 見た目は少々あれだが、食べるとちゃんとシュークリームの味がする。自作カスタードクリームがうまい。だが、果たしてこれで完成としていいのだろうか。ほかの人のシュークリーム画像を見てみると、もっと膨らんでる気がする。まだいけるんじゃないか。卵を最後追加していなかったら、記事の粘度がもう少しあって焼く前に高さが出せていたらどうなっていただろう。そういえば焼く前に表面に水気を足すのもやっていないではないか。リベンジは為されたか。否である。

3度目のチャレンジ

 斯くして、日を置いて3度目の挑戦へと相成った。今回は卵は追加しない。焼く前に水気を足す。この2点を改善し、最終チャレンジとする。卵を追加しなかったことで高さが出た。焼く前に水気を振った。霧吹きが無かったので水しぶきをパタパタと上からかけてみた。記事の温度も生暖かい。オーブンの予熱もばっちりだ。
3度目の生地

 オーブンに投入し、膨らんでくれと祈る。何に祈るのか。無論、シュークリームの神様以外に祈る神などいない。オーブンの温度と焼き時間は2度目のチャレンジと同じだ。たのむ膨らんでくれ。
オーブンで焼き始め

 膨らんだ!
膨らんだシュークリーム生地

 3度にわたるチャレンジの中で、一番シュークリーム然としたシュークリームである。中もちゃんと空洞だ。クリームを早く入れてくれと言わんばかりではないか。
シュー生地の中の空洞

 中にクリームを入れて閉じてみた。もはや粉砂糖で誤魔化したりしなくてもちゃんとシュークリームであると伝わる。そしてうまい。とくにカスタードクリームがうまい。ここにリベンジは成った。
完成

対戦を終えて

 長い戦いだった。回を追うごとにちゃんとしたシュークリームとなっていった。だが振り返ってみて、失敗作がまずかったかと言ったらそうでもないのだ。膨らまなかった最初の生地も、シュークリームではなくなったがうまかった。膨らむにつれて食感が軽くなる。工夫を凝らせばもっと膨らませることもできるのかもしれない。しかし膨らませるほどに生地が薄く軽くなり、コンビニで売っている極限まで薄く膨らまされたシュークリームのようになってしまうだろう。商業的に見れば、少ない材料で大きくできれば利もあるのかもしれない。人に売るのではなく自分や近しい人に作るのであれば、むやみに膨らませることに固執することなく、生地を好みの重さに調節する事ができるのも、自作の醍醐味であると言えよう。

 この戦いで得た知見の一つは、その材料に使われるバターと砂糖の甚大さである。おいしいからと言って毎日作り毎日食べ続けると間違いなく体を壊す。完成したシュークリームはファンシーだが、その材料からはまがまがしい凶悪さがにじみ出る。

 そして最大の成果はカスタードクリームを作ることができるようになったことだ。カスタードクリームを作るだけなら材料さえそろっていれば物の数分でできる。そしてうまい。感動するほどに。こんなに簡単にこんなにおいしく、また失敗する要素無く作れるのかと、感動すら覚えた。もしかしたらこの勢いのままカスタードプリンも作れるんじゃねえか、そんな気がした。シュークリームづくりは、おすすめである。

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