今日は昼食にカレーを食べた。久しぶりに晴れ間が見えていたので、カレーを食べた。昼食を共に食べに出た人々からはの要望でナンでカレーが食える店を探した。程なくして2件のカレー屋が見つかった。ひとつはインド人シェフのいる本格的インド料理の店。コンビニと牛丼屋に挟まれて窮屈そうだが、誤解のないインド風の外見はカレー屋としての説得力にあふれている。インド風というのが失礼な位、純粋なインドである。もう一方は少しおしゃれなカレー屋さん。インド風とは無縁の小奇麗なディスプレイだがナンで食べる本格カレーの様だ。
気取らない立ち寄りやすさが、2階の店へとつながる階段へ客をいざなう。
我々は、その場にいた全員が行ったことが無いという後者の店を選んだ。新規開拓精神はいつでも必要だ。店に入るとレジの奥にある厨房で忙しく働く日本人シェフが見えた。内装も階段の下のディスプレイと同様に小奇麗だ。席のクッションがやわらかすぎて座ると大きく沈んだ。メニューは、
チキンカレー&豆カレー
ビーフカレー&豆カレー
野菜カレー&豆カレー
キマーカレー&豆カレー
等々、どれもナンがついているらしかった。キマーカレーとはキーマカレーの正式な呼び名だろうか?キマーカレーをオーダーし、現物を確かめることでその謎は解決できたのだろうが、私はあえてその選択をしなかった。私はチキンカレーを頼んだ。参考までに、私がチキンカレーを選ぶにいたる道筋はこうだ。まず、すべての選択肢に豆カレーがついている以上それから逃れる術はなさそうだとあきらめ豆カレー食す現実を受け入れた。では、豆カレーに合う選択はどれか。野菜と豆では、植物と植物でバランスが悪い。だからといってビーフでは、極端だ。やはりチキンがちょうど良いだろう。そんな気がしたのだ。
注文を終え、カレーを待っていると、最初に運ばれてきたのはカレーでもナンでもなく、なんと味噌汁だった。その後ナンが来て、少し間をおいてチキンカレーと豆カレーが同時に運ばれてきた。ナンは熱々でおいしかった。チキンカレーもコクがありそれなりに美味だった。
豆カレーはまずかった。しかしそんな事はどうでも良い。うまい、まずい、の問題ではないのだ。なぜこのカレーに味噌汁なのか?カレーは、言うなれば汁物だ。汁物の脇を固めるもとのして用意されるのが味噌汁では、汁&汁という事になってしまわないか?いや、なってしまうだろう。これは大変危険だ。チャーハンをおかずにご飯を食べるのと同種の危うさをはらんでいる。
さらに、カレーと味噌汁という組み合わせはどこか家庭的な空気を醸し出す。人々におかんのカレーが並ぶ食卓を連想させる。それは、小洒落たカレー屋とは対極に位置するものだ。両極に位置する2つのものを一度に同じ空間で展開することがどれだけ危険であるかはあえて述べるまでもないだろう。では、何ならば良かったのか。店の雰囲気からしても、やはりそこはサラダだろう。そうだ、サラダが妥当だ。味噌汁をサラダに置き換えることですべての危うさが解消される。すべての危険を排除し、店内を再び安定させることが可能だ。
しかし、代替案を思いつくにいたり、少し冷静になって考える。100年に一度といわれる大恐慌の真っ只中を生きる我々にとってカレーと味噌汁が同時に食卓に存在すること自体は大した問題では無いのではあるまいか。真に最も問題にすべきはその味噌汁の出汁がしっかり取れていなかった事なのかもしれない。
嗚呼、今日も世界は複雑である。