11個ある!
現在の日本で快適な生活を送るには、電気が欠かせない。そして電気で動くものには、遠くから制御したいというニーズが付きまとう。シーリングライトはドア横のスイッチまでいかずに点灯消灯、明るさ調節がしたい。オーディオアンプの音量や入力元、出力先のなども本体まで行かずとも制御したい。PCモニターも静止画、動画、など見るコンテンツによって最適な設定を背もたれに寄り掛かったまま切り替えてしまいたい。暑くなったら扇風機を一歩も歩かずに回したい。エアコンはそもそも本体で操作するインターフェースが用意されていない。太古の昔、まだ我々人類にとって食料の確保が今よりももっと不安定だった時代には、次にいつ栄養補給できるかの保証がない状態下にあってできるだけエネルギーを温存せねばならず無駄に動き回る個体の生存率は低くなったに違いない。その記憶は生き残るための知恵として遺伝子に刻み込まれているはずだ。故に人間は基本的に無駄に動きたくない。人間の動きたくないという根源的欲求を満たすために、多くの家電にはリモートコントローラー、略してリモコンが用意されているのだ。リモコンは便利でありがたい。

だが、ありがたいリモコン達もそれぞれのメーカーがそれぞれの製品にそれぞれのリモコンを付けた結果、家電を多く備える部屋の机上にはリモコンがあふれ出す。いまこのブログ記事をタイプしているデスクの上にあるリモコンを試しに数えてみたら、11個あった。エアコン、液晶ディスプレイ4つ、アンプ、シーリングライト、扇風機、デジタルフォトフレーム、捨ててしまったコンポ、捨ててしまったラジカセ。これらのリモコンをどうするか。大家電時代を生きる人々に共通の問題となっている。
あふれ出すリモコンに対するソリューションの数々
増え続けるリモコンに対して、我々人類も手をこまねいていたわけではない。幾つかの対抗策がすでに講じられており、実用化されている。まず、学習リモコンというものがある。たくさんの家電のリモコンが発する赤外線のパターンを読み込ませて記憶させ、再現することができるという製品だ。これにたくさんのリモコンの信号パターンを教え込めば、多くのリモコンを一つにまとめることができる。これで人類は救われたかに思われた。しかし、学習できるパターンには限りがあり、一流メーカーの繰り出す無限にも近いボタンを備えた重厚長大なリモコンのすべてのボタンの信号を覚えさせることは不可能である。なのでよく使う機能だけ学習させることになるが、どのボタンにどのリモコンのどの操作を覚えさせたのか、学習させた本人が把握している必要があり、使用する人間の記憶力に大きく依存してしまうという弱点もあった。たまにしか使わない機能を学習させてしまった場合、それを覚えておくことなどは至難の業である。人の記憶ほど不確かなものもない。結局はこんがらがってしまうのだ。
そして、最近ついに高度なテクノロジーの到達点としてスマートスピーカーという最終的なソリューションになりえる製品が現れた。家に置かれた音声認識端末に「オーケー!グーグル!」や「ヘイ!しり!」と呼びかけるあれである。家中の家電をコントロールするにとどまらず、ネット上のクラウドサービスとつながっていろいろと便利なことができてしまう。まさにSFに現実が追い付いたような製品であるが、これにもやはり弱点はある。よく言われる問題としては、「オーケー!グーグル!」や「ヘイ!しり!」と呼びかけるのは非常に恥ずかしいのだ。さらに言えば、家の中に常に音声入力を待ち受けて待機しているマイクが存在し、それがネットにつながっているという不安を我々はぬぐうことができるかという問題がある。人は一人きりで部屋にいると、「びっくりするほどユートピア!」とか、「エイサーイ、ハラマスコーイ」などと意味のないフレーズを口走ったりするものだ。それをずっと聞いているマイクがあるという状況に耐えられるだろうか。一昔前、人の家に盗聴器を家に忍び込んで仕掛けるという悪いことをする人がいた。TV番組などでよく街にあふれだしている盗聴電波を拾い、一般家庭に「こんなの仕掛けられてましたよ!」って教えてあげる番組があった。現在においては、自らマイクを家に置いているので盗聴犯はわざわざ家に忍び込んで仕掛ける必要がないなんて都市伝説も聞こえるようにもなってきた。もっとも、これはスマートスピーカーに限らず音声入力を持ったスマホ全般に言えてしまうことではあるのだが、であるならばこそ、そのうちスマートスピーカーの機能などスマホで代替できるようになっていくはずで、急いでスマートスピーカーなど据え付けなくてもいいんじゃないかと思ったりして導入に躊躇したりしなかったりする。
机上に省スペースに並べるというソリューション

学習リモコンもスマートスピーカーも根本的解決にはならないとするならば、どうすればいいか。雑然と置くより幾分ましな整列方法を模索するのほかない。手の届く範囲に全部並べてしまえばいい。そうして生まれたのが、無限リモコンスタンド「リモコン立てる君-Unlimited Remocon Works-」である。
どうやって使うのかというと、こうやって合体させるのだ!

そして、劇的にビフォーとアフターがこうなるのだ!ビフォー!

アフター!

斜めに重ねることで省スペースを実現しつつ、ボタン面に負担をかけないスマートな角度。さらにその角度が一つ一つのリモコンのボタン面をチラ見せスることでリモコンの識別を容易にしつつ、スーッと取り出せる絶妙な整列具合である。加えてよく見ていただきたい。

そう底面に斜めに切れ込みが入っていたり、出っ張っていたりするのだ!これは合体した時にこうなる!

初期バージョンになかったこの切れ込みが入ることで、背もたれ部分に重みがかかった時に浮いてしまうことを防いで、樹脂製の本体の軽さとは裏腹にびっくりするほどの安定感を持つ!すごい!
リモコン問題の解決
これで机上面積の30%を占めていたリモコンがスマートに並んで机が広くなった。液晶ディスプレイの前に並べているにもかかわらず、ディスプレイにかぶることなく表示を邪魔しない絶妙なソリューションとなっている。よしよし。また世界の問題を一つ解決してしまった。これからもこの調子で世界の問題をひとつづつ解決して真理に到達していこうと思う。