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映画評
2011-03-07 2:51 by 仁伯爵
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もう先月の話になってしまったが2/25の深夜に新宿バルト9行われた「攻殻機動隊Solid State Society 3D」 の試写会に行ってきた。「攻殻機動隊Solid State Society」 は4年前にOVAとして製作された作品だがハリウッド映画「アバター」で話題となった3D技術を使った映画として3/26(土)から公開予定とのこと。

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右の写真は試写会用のポスターで、神山健治監督のサインが入っている。2/25というのは試写会が行われた日付だ。開始が25:00からということで、混雑したロビーで一人、開始を待つのはつらかったが、タチコマフィギアやステッカー、少佐タンブラーなどのお買い物をしていると、事の他ワクワクしてしまい楽しく過ごせた。SSS 3Dでは、オープニングが完全新作となっており、3Dめがねに対応した色の修正、また立体感ある音響の調整などが行われているという。上映前の石井プロデューサーと神山監督のトークショーでは、同時上映の短編の予告編が公開されたが、キャラクター2名とサクラダファミリアの静止画が音楽とともに流れただけのとても短い物だった。神山監督曰く、「出し惜しみしているのではなく、まだ全然出来ていないだけ」との事でだった。

攻殻機動隊Solid State Society 3Dは近未来の日本を舞台に、現在は実現されていない技術を用いたハイテク犯罪に公安がどう立ち向かうのかというハードSFアクション作品である。作中の世界では、電脳化手術により脳を直接コンピュータに接続したり、体の一部または全部を機会による補完(儀体化)を行うなど科学技術が大幅に発達しており実用化されている。

登場人物の視覚には脳が直接コンピュータネットワークに接続されているため、様々なインターフェースがディスプレイ装置を用いる事無く直接見えている。それが3D技術を用いることによりスクリーン上でリアルに再現されており、本作品が3Dで作り直された一番の醍醐味であるだろう。

また、迫力ある3Dが堪能できるシーンとしては夜の新浜市上空をヘリコプターが飛ぶ場面が、まるでもう一台のヘリで後ろから眺めているような錯覚を覚えるほど臨場感があった。そのほかの場面では、正直3Dが邪魔で見難いと感じる場面がちょいちょいあった。

ストーリーでは、少子化や老人問題などが盛り込まれていて、独居老人や、非実在老人の話がHOTになったのが去年であることを考えると、4年前の作品とは思えない新鮮さがある。ただ、2034年が舞台であり、実用化されている技術もとんでもなく発達しているのに、物語の中で語られる価値観が現在の物とあまり変わらないのが少し気になった。もう少し現在では考えられなとんでもない社会問題があっても良かったのではないかと。

衆議院議員の宗井仁が語る保守的な選民思想は、2034年には少数派になるのではないだろうか。核大戦、非核大戦と二度の大戦を経て半島からの難民を受け入れているという舞台設定を考えると、もう少し大胆なパラダイムの転換が起こっていて欲しいと思った。国家という枠組みはもっと希薄化していて、資本主義や、民主主義の形が変容してるはずなんじゃないかと思ってしまった。そこまでやるとリアリティーが無くなってしまうだろうか。

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上映前のトークショーにて神山健治監督が、「作中の貴腐老人は、結婚をせず趣味に没頭している世代が老後こうなっているかもしれないという思いから着想した」という趣旨の事を発言されていた。そう考えると、20~30年後自分の老後として考えると、現実的な姿なのかもしれないとも思う。

物語の結末は、事件を解決することで虐待を行う親元へ返されてしまうなど、子供達は劣悪な環境に戻されることになった。もし、宗井仁が子供を拘束せずに、コシキタテアキの思惑通りに計画が進んでいたら、もしくはSolid State Society が法的な問題を解決した形、たとえば劣悪な環境下にある子供を収容して教育施設に入れる立法をするなど、で提供されていれば様々な批判はあるだろうが決して悪いことではないと思う。

上映終了した後、期間中バルト9内に特設されている攻殻カフェは入場制限されており入れず、午前4時の新宿を、試写会についてTwitterでつぶやきながら歩いて駅へむかうと、新入社員だった当時飲み明かして朝までカラオケで時間をつぶして帰った日々を思い出しなんだか懐かしい気持ちになった。

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