前々回(YAMAHAルーターRTX810と戯れるに至るいきさつ)、前回(YAMAHAルーターRTX810の選定をする前にVPN方式の選定に至るいきさつ)、の続きである。
ソフトウェアによるSSL-VPNからルーターを用いたVPNへの移行を決意し、使用するプロトコルもL2TP/IPsecと決めた私は、いよいよ具体的にどのメーカーのどのルーターを使うかの選定作業に取り掛かることになる。
L2TP/IPsecが使用可能で、信頼性が高くお手ごろ価格なルーターはどれか。
私がルーター選びを始めた2011年12月時点では、上記の条件にあてはまる選択肢はそれほど多くなかった。世に出回っているVPN対応を謳うコンシューマー向けの無線LANルーターは、全滅であった。PPTP搭載はあってもL2TPを使える物は無いのである。L2TPが使えるルーターとなるといささか本格的なルーターがターゲットと言う事になった。選定作業時に、L2TP対応を謳うルーターで手が届きそうなものを出しているメーカーは2つに絞られた。
1.アライドテレシス社のCentreCOMシリーズ
L2TP/IPsecが使えるルータ―として最初に検索にヒットしたのがこのシリーズだ。いろんな媒体でモバイル端末からVPN接続できるL2TPに対応した数少ないルーターとして取り上げられていた。ラインナップは、アドバンスドルーターとして、最上位のAR570Sから、AR560S、AR550S、の3機種、一つ下のグレードにはスタンダードルーターとして 、AR415Sの1機種、合計で4機種であるらしい。
我がネットワークの規模から考えて、AR415Sが丁度良いかと思いスペックを調べてみた。定価は税込73,290円だが、実売価格は4万数千円といったところだ。ちょっと高いが致し方ないかと思っていたが、がっかりポイントを見つけてしまった。なんと全ポート10Mbps/100Mbpsなのだ。我がネットワークは小規模なれども、ほぼすべての機器がギガビットイーサに対応しており、優先ケーブルもちゃんとカテゴリー6eを使っているのだ。ルーターが100Mbpsでは物足りない。一つ上のグレードのAR550Sも同様に全ポート10Mbps/100Mbpsだった。ギガビットイーサに対応するのはその上のAR560Sからだが、定価が税込123,900円で、実売価格は5万円台後半~6万円台だった。いささかオーバースペックではあるが、このシリーズから選ぶとすればこれに成るだろう。
2.ヤマハ社のRTXシリーズ
音楽とバイクのあのヤマハである。ネットワーク機器メーカーとしてもとても有名だ。このメーカーでL2TP/IPsecが使えそうなのはRTX1200と、RTX810の2機種だ。
嬉しい事に2機種とも全ポートギガビットイーサ対応である。2機種の大まかな違いは、LANが3系統と2系統、ISDN対応、VPN対地数等々である。ISDNを使う予定もないし、LANは2系統で十分だ。VPNもリモートアクセスを想定しており、ユーザも増える予定はないので最小限で構わない。となると、RTX810が良さそうだ。価格も定価が税込71,400円で実売価格は4万円台前半で手に入りそうである。
以上から、AR560SとRTX810の争いとなったが、価格面で優位なRTX810に決めた。私はシーランド公国の伯爵だが、貴族と云えどもこのご時世、家計を無視した買い物はできないのだ。
ヤマハのウェブサイトにバナーが出ていたセミナーにルータ付きコースで参加すると、57,750円でRTX810本体と書籍「ヤマハルーターで挑戦 企業ネットをじぶんで作ろう」が付いて来ると言う情報も私の背中を押した。このセミナーで製品と共に具体的な設定を聞いてしまえばいいとおもったからだ。実際このセミナーに参加したが、私としては少し物足りなかった。RTX810はブラウザからアクセスするGUIと、シリアルやSSH、TELNETなどでログインするCUIの両方で設定が可能なのだが、セミナーではGUIで設定できる範囲しかやらない。CUIでコマンドでの操作の手ほどきはしてくれないのだ。以前はCUI中心の講義を行っていたが、時間の制約からGUIでやった方が実際にVPNを張る所までハンズオンで示せると言う理由から、方針転換したそうだ。とは言え、実際に人に質問できると言うのは、理解への最短ルートである。物足りなければ、講義内容からはみ出ていても質問してしまえばいいのだ。今回のセミナーでも最後の最後に、ヤマハルーターとは関係のない所で、私がNTT東日本からレンタルで使用しているPR-300SEの扱いについて、嬉しい情報が聞けるという収穫があったが、それはまた、次回の御話。
ともあれ、RTX810に狙いを定め無事、入手する事が出来た。今回も長くなってしまったのでこの辺で失礼して、次回は、NTT東日本フレッツ光のONU一体型ルータににいかにしてRTX810を接続したか、について述べたいとおもう。PPPoEブリッヂを使用するしかないと悲観に暮れていたが、立派な抜け道が用意されていたのだ。次回を「YAMAHAルーターRTX810の設置完了に至るいきさつ」震えて待て!