2014-04-25 0:54 by 仁伯爵

来るべきXPの終焉の到来

 先日、かねてから予告されていた通りWindows XPのマイクロソフトによるメーカーサポートが終了した。これにより、今後はXPに脆弱性が発見されても修正されず、悪いクラッカーたちの鴨にされてしまう状況が予想されている。XPはよいOSだった。いまだに使い続けている人も多いと聞く。マイクロソフトがサポートを続けていれさえすれば、何の問題もなく使うのに、と思っている方々も数多存在するであろう。マイクロソフトも営利企業なので、いいOSができたからと言って客がそればかり使っていては新しいOSが売れず倒産してしまう。これは商業的に広義の意味で「計画された陳腐化」と言われるマーケティング手法の一つであると言ってよい。このように商業的利益とユーザーの利益が相反するとき、浮上するのがオープンソースの存在感である。XPが終わるなら、無料のlinuxを入れればいいじゃない、と言う主張だ。

 しかしながら、windowsに慣れ親しんだユーザーがいきなりlinuxに移って満足できるだろうか。必ずしもそうはならないだろう。今の世の中はwindowsとMacOSを中心に回っているのだ。プリンタや周辺機器のドライバはWinとMacのみ用意されている場合が多い。メガバンクが行うインターネットバンキングなどは、なんと、IE(InternetExplorer)でないとログインさせない仕様になっていたりするし、ネット上から税務申告が行えるe-tax(国税向け)やEL-tax(地方税向け)などはクライアントソフトがWindowsのみ対応となっている。あまねく国民に使用されるべき公共のソフトが一企業の製品のみに対応しているという現状はあまりにもお粗末だと思うが、これが今の世の中の現状だ。linuxに移ったユーザーが、なんだlinuxじゃ何もできないじゃないか、という不満を抱えるのは目に見えている。

名機IBM ThinkPad X31の哀愁

 では最新のWindows8.1へと移行すればいいのか、と言うとそうは問屋が卸してくれない。XPが乗っているような旧型のPCでは、Windows8の前提条件を満たさないものがあるのだ。セキュリティーに関する新しい技術にハードウェアが対応していなければインストールさえさせてくれない場合がある。Windows8は古いPCに厳しい。自分のPCがWindows8へバージョンアップ可能かどうかは、下記のURLからインストールアシスタントをダウンロードしてチェックしてみるとわかる。

 ・Windows 8 のシステム要件(MicroSoftの公式ページ)

 悲しいかな、長きにわたり私の外出用PCとして活躍してくれたIBM ThinkPad X31もWindows8の設ける厳しいハードルを越えることができなかった。10年以上前の機体ながらもハードウェアが完全に動作しているのに、ここで終わってしまうのか?X31はその耐久性によって名高きIBM ThinkPad晩年の名機である。Lenovo ThinkPadとは物が違う。まだ5年は使える。別室に控え、USBケーブルの届かない我がReplicaotr2XはSDカードからプリントするという方式をとっていたが、ファームアップ等USBケーブルが無いとできない作業をする端末として機動力のあるノートパソコンであるX31はまだまだ必要なのだ。Linuxも不便でWindowsへの道もたたれたならば、つぎのOSは何を入れればよいか。

WindowsがダメならUNIXを入れればいいじゃない

 X31へはWindos8ならインストールすらできないが、linuxやunixならばインストールできる。わがX31はメイン機ではない。持ち運び用端末なのだ。であればWindowsでないからという理由でその活動が限定されるといえど、できない部分はほかのWindows機に任せるという運用で問題がない。故に、オープンソースの無償OSを入れてみようではないか。Windowsじゃないとできない事にぶちあたっても工夫次第で何とか乗り切れる場合も多いのだ。Replicator2Xの制御端末としての役割もそうだ。Replicator2Xの制御ソフトであるMakerWareは、WindowsとMacとUbuntu(linux)しか対応していない。しかし、MakerWareを使わずに、ReplicatorGを使用すればFreeBSDで稼働させることも可能なのだ。このような工夫を重ねていくことこそ、高度情報化社会に生きる醍醐味と言ってよいのではないだろうか。

 そうと決まれば何を入れるか、LinuxならばLinux mintがいいだろう。Ubuntuの重さに辟易したユーザーたちから軽量Linuxとして多大な支持を得ている。日本でこそ知名度は少ないが世界では大フィーバー中だ。
 UnixならFreeBSDがいい。これまでFreeBSDをWebサーバーとして使用する記事を書いてきたが、FreeBSD10になってから新しいパッケージ管理コマンドpkgが使えるようになっている。これによりXサーバーを利用したGUI環境環境の構築がものすごく楽ちんになっているのだ。クライアント端末のOSとして使うのも現実的になってきた。
 パカッと開けたノートPCでlinuxが動いていた場合と、FreeBSDが動いていた場合、どっちがカッコいいだろうか。だんぜんFreeBSDの方がかっちょいい。なんかプロっぽい。それに必要最小限の構成を作るなら、FreeBSDの方がいい。Linux mintは軽量だとはいえ、最初からいろんなものが入ってる。リソースの限られたノートPCでの運用を考えるとFreeBSDの方が良いだろう。なにせFreeBSDの方がかっちょいいのだ。

セカンドIDEの無効化とHPAの復旧

 どうせ、OSを新しく入れ替えるならHDDも新しくしておこう。SATA接続全盛の時代に、X31に搭載されるUltraATAのHDDは絶滅の危機に瀕しており、これからどんどん入手しづらくなっていくことが予想される。入手が手軽な今のうちに入手しておこう。HDDは壊れてからでは遅い。壊れる前に交換するのが良い。それに、前のHDDをそのまま残しておけば、WindowsXPの環境にHDDを入れ替えるだけで戻ることが可能となる。新環境の構築中に旧環境が必要になることはしばしばある。そんなときの転ばぬ杖にもなるだろう。今回は、日立GST Travelstar 5K160(80GB/ATA100/5400rpm/8MB) HTS541680J9AT00を使用した。入れ替え前と比べて容量も2倍に増えた。

 まず、HDDを入れ替える前にWindowsXPを立ち上げて、AccessIBMのツールから、セカンドIDEデバイスを”使用しない”に変更しておく。そうしておかなければ、ウルトラベースを接続しない状態でFreeBSDをブートすることができないのだ。なぜかIDEのチェックのところでフリーズしてしまう。この操作はXPの環境にプレインストールされているIBM謹製のユーティリティーからでなければ行えない。

 つづいてWindows上で行うのが4GBのFAT32フォーマットの領域を確保することだ。X31はリカバリーCDが存在しない。HDDのHPA(Hidden Protected Area)と呼ばれるリカバリー領域からリカバリーするタイプの機体だ。それだけではなく、IBMのハードウェア診断のユーティリティーなどもこのHPA領域に格納されている。試しに、HTS541680J9AT00(新しいHDD)を入れた状態で電源ボタンを押し、IBMのロゴが出ている状態でAccessIBMボタンを押してみると以下のようになる。
x31freebsd001
 HPA領域が存在するHDDが接続されていれば、HPA領域のプログラムを選択するGUI画面が立ち上がるはずだが、それが無いのでBIOSに入るか、起動デバイスを選択する画面に入るか、そのまま通常起動するか選ばせる画面になってしまうのだ。これではさみしいので、XPをリカバリーすることはもうないだろうが、HPA領域を一応新しいHTS541680J9AT00の方にも作っておく。
 まず、旧HDDを本体に入れた状態で、ウルトラベースのセカンドHDDアダプターにHTS541680J9AT00を入れて接続する。この状態で、本体内の旧HDDからWindowsXPの旧環境を立ち上げる。そして、パーティション変更ツールなどを使って4GBのFAT32のパーティションを作っておく。ついでに、新しいHDDの方にパーティションの切ってない未割当の領域が4GB以上あることを確認する。今回は、新品のHTS541680J9AT00を使ったので空き容量はたっぷりだ。
 続いて、再起動しIBMのロゴが出ている間に青い”AccessIBM”ボタンを押す。すると、次のような画面が出るので、”Recover to factory contents”をダブルクリックする。
x31freebsd002
 すると、IBM Product Recoveryプログラムがロードされるのでしばし待つ。
x31freebsd003
 下のメインメニューが表示されたらF3キーを押してDosプロンプトを表示させる。
x31freebsd004
 DドライブのRECOVERYディレクトリにいる状態だ。ここでCドライブの中身を表示させてみると約4GBあまりが空っぽなのが分かる。このCドライブが先ほどWindowsXP上から作ったFAT32のパーティションだ。ディスプレイに移った私のシルエットがセクシーである。
x31freebsd005
 このCドライブに、fwbackupコマンドを使ってHPA領域領域のイメージバックアップを保存する。fwbackupコマンドのオプションはこんな感じ。
x31freebsd006
 上の画像の出力から、今回はこんなオプションで実行する。


D:\RECOVERY> fwbackup size=640 file=c:\IMGSET

 ”size=640″というのは、バックアップするイメージファイルが640MBを超えるごとにファイルを分けるというオプションである。25MB~640MBの間で指定できる。まだストレージが小さかったころの配慮だが、今回は4GB丸々あるので最大にしておく。”file=c:\IMGSET”というのは、バックアップするイメージファイルの保存先だ。IBMのマニュアル通りに設定した。IMGSETと言うディレクトリは事前に作成しなくても勝手に作ってくれる。実際に実行すると以下のようになる。
x31freebsd007
 640MBごとに区切られた6つのファイルが出来上がった。こいつを、fwrestorウルトラベースの中にある新HDDであるところのHTS541680J9AT00にリストアする。具体的にはこうだ。


D:\RECOVERY> fwrestor file=c:\imgset drv=2

 ”file=c:\imgset”はバックアップしたイメージファイルが格納された場所だ。fwbackupコマンドで指定したのと同じ場所を指定する。今回は小文字になってしまっているが、Dosは大文字と小文字を区別しないので、これでも通ってしまう。”drv=2″と言うのはリストア先を2つ目のドライブ、つまり新HDDであるところのHTS541680J9AT00とすると言う事を示している。実行すると下のような感じ。
x31freebsd008
 これで、新HDDであるところのHTS541680J9AT00にHPA領域がリストアされた。あとは本体の電源を落として、HTS541680J9AT00を本体に入れて、電源投入時に”AccessIBM”ボタンを押しても、ちゃんとHPA領域のプログラムが選択できるようになっている。Informationから確認すると日立GST Travelstar 5K160(80GB/ATA100/5400rpm/8MB) HTS541680J9AT00から起動できていることがわかるだろう。
x31freebsd009
 これでやっと、新しいHDDに新OSを導入する準備が整った。XPの工場出荷時のイメージが格納されているところに、これから入れるFreeBSDのイメージを格納してDosからリストアできる仕組みを入れておけば、工場出荷時へのリストア操作でFreeBSDにリストアされるといったことも可能そうだが、それはまた機会があれば試してみたい。それよりもまず、FreeBSDのインストールだ。今回は長くなってしまったので続きは次回に譲ることにしよう。

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