視野角を広くしたい問題
前回のセッティングを終えて、Raspberry Piのカメラで3Dプリンターを監視してにやにやする生活をしばらく送っていたが、どうにもカメラの視界から切れてるところもみたいと言う新たなる欲望が抑えられなくなってきた。カメラと3Dプリンターの距離は変えずに、全体像をとらえるにはどうすればいいか。広角レンズを取り付けるしか無かろう。幸い、昨今携帯電話にカメラがついてからスマートフォン全盛の時代に至り、そのカメラの性能を引き出すための小型レンズ製品が市場に多く出回っている。これをRaspberry Piカメラに取り付ければ、視野角を広げることができるだろう。組み込まれているカメラはRaspberyy Piカメラと大差ないのだ。すると、アマゾンで格安の広角、マクロレンズを見つけた。400円を切るその価格に多少の怪しさを感じたものの、この買い物が失敗であったとしてもそのくらいの出費なら笑って済ませられるだろうと購入してみた。
レンズの装着!
手元に届いたレンズは、マクロ用の拡大レンズと、それにドッキングさせて使う広角レンズ、それを固定するためのクリップと、レンズカバーだ。
マクロレンズと、広角レンズをドッキングさせるとこんな感じ。
レンズを付属のクリップで装着してみた様子がこちら。
これはこれでかわいい気もするが、なんか不安定だ。クリップがケースに対して大きすぎるのも気になる。なので、ケースをちょちょいと改造してカメラを固定できる形状に変更してみた。
このくぼみにちょうどレンズがはまるようになっている。例によって3Dプリンターで出力し、レンズを装着してみた。
これは!一気にカメラっぽくなった。だれが見ても見まごう事なきカメラである。素晴らしい。なんかメカっぽくてかっこいい。この改良STLは以下のリンクに置いておく。銀仁堂のRaspberry Pi専用cameraモジュール用台座ケース のras_pi_camera01.stlと差し替えて使用していただけるようになっているので是非、ご活用いただきたい。
マクロレンズのテスト!
まずは、マクロレンズのがどれだけ接写できるか試してみよう。こんな感じでピンセットの先端を撮影してみる。
マクロレンズを装着してピントを合わせた状態。
見事に先端に迫ることができている。小っちゃなものを撮影するときには重宝しそうだ。因みに、同じ距離でレンズを外した状態の画像がこちら。
当然のことながらマクロレンズ無しでは寄っていくとピントがずれていき、マクロレンズ装着時と同じ距離では完全にボケてしまっている。格安レンズだがマクロレンズはなかなか使えそうだ。
広角レンズのテスト!
次に、広角レンズを装着してテストしてみよう。こんな感じで撮影した画像を比較してみる。
雑然と物が置かれているのは、どこまで広角で取れたかわかりやすくするための目印としておいてあるのであり、決して机上が散らかっているとかそういう事ではない。あと、チップスターは美味しい。今度は、まずレンズ無し状態の素の画像から見ていただこう。こちらである。
チップスターから昆虫標本の端っこくらいまでが大体の視野である。続いて、同じ位置から広角レンズ装着状態で撮影した画像がこちらである。
そう、これが安さの秘密なのだ。確かに広角にはなっているがどこにもピントが合っていない。マクロレンズの優秀さに比べて、広角レンズは焦点が合っていない。
レンズの距離の調整
幸運にも今回のレンズは前後のレンズが分解可能なので、レンズの距離を調節してやれば何とかなりそうだ。どの程度の距離が良いか、手で前後させてみて、その距離を保って固定する器具を3Dプリンターで作ってしまえばいいのではないか。やってみた結果、だいたい4mm距離を離すと焦点が合うようだ。間に4mmのリングをかませてやればいい。これも単純な形状でいいのでちゃちゃっとCADで作ってしまおう。
でけた。以下のリンクにSTLファイルを置いておく。
これを3Dプリンターで出力し、カメラに装着してみる。これが装着前。
そしてこれが装着後。
長くなったのがお分かりいただけただろうか。銀色に黄色が入ってなかなかおしゃれな仕上がりになっている。装着してみた。
カッコいい!ではこれでどのように画像が変わったか、それがこちらである。先ほどと同じ位置から撮影した。
カメラからレンズまでの距離が遠くなってしまったことで、レンズの縁が映り込んでしまっている。おそらくこの距離でセッティングするにはレンズが小さすぎたのだ。画面の端のゆがみもちょっとあるが、ピントはあっている。チップスターのパッケージの文字も輪郭がきれいに出ている。レンズ無の状態はもちろん、改良前のレンズ装着時よりもわずかに視野が広角になっている。縁が移ってしまうのは残念だが、おおむね良くなったのではないだろうか。400円しないレンズなら、この程度であれば御の字だろう。
これで、3Dプリンタのある部屋へ行ったり来たりしなくても済むようになった。3Dプリンターのいいところは、このようにあと4mm伸ばせたらいいのになーと思ったら伸ばせちゃうと言うよな所にあるのだと感じた。カメラを固定するのにちょうどいい形状が偶然身の回りにある事などは稀だ。こんな形のこんなのがあればなあと言う状況は、日々の生活の中にありふれている。手持ちの棚にちょうど引っかかる大きさのフックとか、ちょっとした固定具とか、そんなものを作るニーズが各家庭にはあるのではないだろうか。そんな単純な形状なら、ちょっとCADをいじくればすぐに作れてしまう。家庭用3Dプリンターの普及のカギは、フィギュアやおもちゃなどでなく、そういった自分しか必要としてないだろうと言うちょっとした物を出力するという用途にこそある気がした。それについてはまた別の記事で考えをまとめて書きたいと思う。また、その日まで、サリュー。