ケータイキャリア帝国による支配
皆様はもうお気づきだろうか、今年2015年がSIMフリー元年だと言う事に。総務省が「SIMロック解除に関するガイドライン」改正案を発表し、2015年の適用を想定しているというのだ。
その昔、携帯電話本体と回線は切っても切り離せない存在だった。各キャリアが発売する携帯電話本体をケータイショップで購入し、ショップで電話番号を特定するための固有のID番号を本体へ書き込んでもらい、回線の開通手続きを行ってもらうことではじめて使用可能となった。中古の携帯電話を入手しても、ケータイショップへ持ち込まなければ、その機体を回線につなぐことはできなかったのだ。その後、SIMカードが導入され、SIMカードに電話番号を特定するための固有のID番号が保存されるようになり、ケータイキャリアとの契約がSIMカードに紐づけられるようになった。これで同一キャリア内であれば、ケータイの本体をいちいちケータイショップに持ち込まなくても、SIMカードを差し替えるだけで自分の契約内容に沿った料金で使用することが可能になった。何の前触れもなく突然起こった画期的なこの変更で自由に機体を選べるようになったかと言えば、実はそうでもなかった。
理由は2つ。1つめの理由は、悪名高きSIMロックがあるからだ。ケータイキャリアが発売する携帯電話本体には、発売したケータイキャリア以外の業者が発行するSIMカードをはじく仕組みが施されている。それがSIMロックだ。SIMカード自体は規格が決まっているのでどのキャリアのSIMであってもID番号を読み込むことは可能だ。auは通信方式が違うのでSIMロックが外れていてもSIMの交換では乗り換えができないが、docomoとsoftbankの間ならSIMカードを差し替える事が技術的には可能なはずだ。しかしキャリアがそれを許さない。
2つ目の理由は、パケット代の高額請求に対する恐怖だ。ケータイのデータ通信はパケット単位で課金される。そしてそれはとても高額だ。意識せずに使いまくれば天文学的な金額の請求を突き付けられることになる。一般にパケ死と言う名で知られる現代の悲劇である。それを回避するために、パケット代の定額料金プランが各キャリアで用意されている。SIMロックがかかっていないSIMフリー端末で使用する場合、APNの設定を正しくしないとパケット定額プランに加入していても、定額の対象外となってしまいパケ死してしまう可能性がある。APNの設定が正しくてもパケット定額プランが適用される条件が他にもあるかもしれず、公開されていないそのような条件の変更は告知なしに行われるであろうことは想像に難くない。キャリアが発売している機器以外で自社のSIMが使用されることなど、ケータイキャリアは想定してサービスを提供したりしないのだ。ケータイキャリア契約のSIMカードをSIMロックフリーの端末で使うのは知識と勇気が必要であった。
SIMフリー元年の幕開け
これまで日本において携帯通信端末のSIMフリー化が進まなかったのは、大手ケータイキャリアがそのようにしてユーザーを囲い込むと同時に、アプリなどのコンテンツ提供者も囲い込むことで利益を最大化してきた為だ。それがスマートフォンの登場で、アプリなどのコンテンツ提供者を囲い込むのがgoogleやappleといったOSを支配する者へと移ってしまった。それで失われた利益は、フィーチャーフォンよりも割高なスマホプランの料金に転嫁されている。それに追い打ちをかけるように、SIMフリー化はユーザーの囲い込みを崩すものだ。それで失われた利益は、さらなる値上げによってユーザーから搾り取ることで購われることになるだろう。
だがそれでよいのである。理不尽に割高で、不必要に複雑でショップの店員すら全容を把握していない料金プランに嫌気がさしたら、格安SIMを販売しているMVNO(仮想移動体通信事業者)と契約すればいい。いつまでも大手キャリアに囲い込まれている必要などどこにもない。回線が端末と抱き合わせで販売されている今までの状況が不健全だったのだ。インターネットプロバイダーがパソコンを販売し、そのパソコンでしかうちのインターネット接続サービスは使えませんというようなものだ。不自然極まりない。商売の筋が悪すぎる。端末と回線は切り離されて提供されるべきだ。携帯の開発はメーカーに任せればよい。ケータイキャリアは通信網を提供することに専念すべきだ。最早ケータイキャリアが端末まで開発することでユーザーは何のメリットも享受していない。大手キャリアから格安SIMに乗り換えてもNMP(ナンバーポータビリティー)が使用可能だ。携帯番号をそのままに乗り換えができる。メールアドレスは提供されていないことが多いので自分で用意する必要があるが、IMAPを提供しているメールサービスをスマートフォンで使用してプッシュ通知を利用すれば、ケータイメールと同様にメールサーバーがメールを受信すると同時に端末にプッシュ送信してくれる。もう大手キャリアに飼い殺されるしかないという状況は一変しつつある。端末もappleのiPhoneやgoogleのNexusに加え、HTC、ASUSなどからもSIMフリー端末が国内向けに発売されておりケータイをめぐる状況は一変しつつある。
乗り換えるべき端末を求めて
では、素直にAndroidやiOSのSIMフリー端末を求めればよいのか。否、断じて否である。偽りのオープンソースOSであるAndroidの不安定さは今さら語るべくもないだろし、マックを持っていないのにiPhoneを持ってもその実力の断片すら味わうことができないだろう。その二つは最初から選択肢にはないのだ。
理想は、SIMフリーのフィーチャーフォンを求めることだ。MVNOの多くはdocomoの回線を使っており、docomoのSIMロックがかかった端末でも使うことができる物が多い。しかしながら、フィーチャーフォンは新機種が開発されなくなって久しく、良い端末が見つからなかった。最近シャープからandroid搭載のフィーチャーフォン型携帯が発売されたが、あんなものには何の魅力もない。androidとフィーチャーフォンの互いの長所を打消し、短所を持ち寄るようなものだ。
FireFoxOSにも大いに期待を寄せていたのだが、軽量で要求スペックが低い事からローエンド端末に使用されていることが多く、ハイエンドでご機嫌な端末を発見できなかった。
そんな時に出会ったのが、BlackBerryQ10であった。かつてはスマートフォンの先駆けとして圧倒的シェアを誇っていたが、Androidの登場以来押され続けていることで有名なBlackBerryだ。一時は他のスマートフォンに倣って全面タッチパネルの端末のみのラインナップへ移行し、ハードウェアキーボードのついた端末の発売予定はなかった所から一転、QWERTY配列のハードウェアキーボードが復活したQ10が発売されていたのだ。さらにBlackBerry Q10はOSにQNXベースのBlackBerry10を搭載しており、ベースがLinuxではなくUnixなのだ。加えて、BlackBerry10では、BlackBerry用に開発されたアプリのほかに、Android用のアプリが動作する。面白すぎる端末ではないか。ただ、残念なことにこの端末は、日本国内で試用される電波を発する機器が取得する必要がある技適マークを取得していない。なので日本国内での使用は法的にグレイゾーンとなる。日常的に使用することはできないが、総務省が海外の携帯端末の使用を合法化することを検討しているとかなんとか。携帯のように小型で規格化された範囲内の電波しか発しないことが分かっている端末については、電波障害を巻き起こして周りに迷惑をかけるといった懸念もないだろう。今後の動向に注目が集まるところである。早く海外端末の使用が解禁されるといいなぁと思う。
部屋とBlackBerryと吾輩
BlackBerryの最新機種は、BlackBerry Classicだが、発売直後で6万円前後と値が張る。BlackBerry10の端末としては、BlackBerry Passportというパスポートサイズのでかい端末もあって魅力的に思えたが、8万円台と言う事で予算に合わず今回は見送った。他にBlackBerry Z10というフルタッチスクリーンの端末もあったがやはりせっかくのBlackBerryと言う事で、いまどき珍しいハードウェアキーがある方が素敵だと感じたので、今回はBlackberryQ10を入手してみる。発売から1年近く経過しているためか3万円台で手に入った。色は黒と白の二色に加え、ebayやアメリカのamazon.comには限定色の白と金のカラーリングの者があり、合計3種類があった。なぜか白が一番安い。ebayを探せば、パーツがばら売りされているので、それらを使用してあとからボディーを取り替えてしまうことも可能だ。国内ではamazon.co.jpが一番安かった。
実はBlackBerryQ10にはSQN100-1~SQN100-5まで通信方式や対応バンドの異なるバリエーションがある。日本国内で使うならSQN100-3がちょうどいい。softbankやemobileのSIMならLTEをガンガンつかむだろう。docomo回線のMVNOを使うなら東名阪の都市部でしかLTEをつかまないので注意が必要だ。b-mobile 高速定額のナノSIMを入れてみたところ、3Gの表示が出た。LTEはおろか、HSDPAすら掴まなかった。4Gは、東名阪の中心街に行かなければ掴まないだろう。HSDPAについては、おなじSIMをTHC DsireHDに入れてみたところ、ちゃんとHSDPAをつかんだので、blackberryQ10がわの問題だと思うが、docomoがblackberry10をはじいている可能性も捨てきれず、原因は不明だ。APNの設定画面で使用可能な回線をスキャンしてみると、E-mobileやsoftbankのSIMを使うと4Gをつかみそうな感じだった。
意を決した注文の翌日早くも我が家にBlackBerryがやってきたのだが、その様子は次回、詳しく語る事にしたい。